家族とうまくいかない……家族ストレスは、どう解決すべき?
家族だからこそ大切にしたいコミュニケーション。一方的に話したり、頭ごなしに指示したりすると、関係性が悪くなってしまいます
「家族システム」のゆがみが家族の問題の背景にあることも
家族の誰かが問題を抱えているとき、その本人だけを正そう、治そうとしてもなかなかよくならず、逆に悪化することも少なくありません。たとえば、学校に行かずに自分の部屋にこもる子に「登校しなさい」と強要したり、学校に行かない理由を問い詰めたりすると、子どもはますます心を閉ざし、登校への意欲がさらに減退してしまうものです。またたとえば、買い物がやめられない家族に対して、「無駄づかいするな!」と叱りつけ、クレジットカードやスマホを取り上げるだけでは、本人の買い物への執着心は止められません。別のカードを作ったり、無理にバイトを入れてお金を手にするなどして、買い物を続けようとするでしょう。
上のように家族の誰かに問題が生じている場合、その問題の原因は本人だけにあるのではなく「家族システム」のゆがみによって生じている場合があります。したがって、本人だけを治そうとしてもなかなか解決しません。家族全体の関係性にゆがみが生じていないか、振り返ってみることが必要になります。
家族への不信感を生む原因にもなる「ダブルバインド(二重拘束)」
家族の絆を不安定にさせるコミュニケーションに、「ダブルバインド」(二重拘束)があります。ダブルバインドとは、口では「YES」と言っているのに表情からは「NO」と読み取れる、このような矛盾した二つのメッセージに拘束されてしまうことです。たとえば、子どもから「友達と遊びに行っていい?」と聞かれたときに、「いいわよ」と許可しながら、「でも、あなたは本当に遊びに行っていいと思ってるの?」などとNOの意味合いを含んだ言葉を添える。このように矛盾した二重のメッセージを受け取ると、子は親の本心がわからなくなり、不信感を持ってしまうのです。
また、パートナーから「愛してる」と言われているのに、いつも独りぼっちにされてしまう。その寂しさを伝えると、「愛していれば、離れていても心がつながっていると感じるはずだよね。どうしてボクを信じてくれないの?」などと言われる。このような場合、パートナーの本心を理解できず、愛を信じたいのに信じられないという矛盾に混乱し、不安定になりやすくなります。
家庭の問題は「システム」にある……問題解決のためのシステムズアプローチ
家族の誰かが苦しんでいて、その苦しみの根本的な原因が「家族システム」にある場合、苦しんでいる人ひとりだけを治療やカウンセリングで良い状態にしようとしても、うまくいかないことがあります。こうした場合、家族の中で問題が生じた一人の人を中心にして、家族全員にも時間をかけて話を聞き、じっくりと話し合うようにすると、家族システムのゆがみに気づき、問題を根本から解決しやすくなります。このように、家族全体のシステムを見直してシステムを変化させることで問題解決する方法を「システムズアプローチ」といいます。
家族は一生付き合っていく大切な人です。だからこそ、その家族システムにゆがみが生じないように、何でも話し合いながら、ほどよい関係性を保っていくことが必要です。