今回は、食育のお弁当箱の中でも特に話題となっている「おべんとう丸くん」を開発されたフジッコ株式会社(以下 フジッコ) マーケティング推進室 広告宣伝課 係長 新村 剛さんに、お話を伺いました。
景品から生まれた大ヒットお弁当箱
栄養バランスを考え、「ばっかりたべ」を防止する工夫等が施された「おべんとう丸くん」。 (カラー:各サイズともにオレンジ・ホワイト) ※お箸・ランチョンマット・巾着バッグ付 小/税込2,394円(本体価格2,280円)(容量:210ml+250ml) 大/税込2,499円(本体価格2,380円)(容量:280ml+320ml) |
従来はお米や商品券などを景品としていましたが、食育活動にもたいへん力をいれていることもあり、新村さんは「こどもの食育に役立つもの、社会的なメッセージ性のあるもの」を景品として作れないかと考えたことが発端でした。
そしてでき上がった景品が配布されるやいなや大きな反響を呼びました。ぜひ購入したいという人の声も多く、期間限定でロフトで販売されると、「お弁当箱」のカテゴリーで月間売り上げ第1位となり、ついに2月から全国のロフトで本格的に販売がスタートしました。(一部販売されない地域もあります)
栄養バランスが身に付く工夫
「おべんとう丸くん」は二段重ねのお弁当箱。上段はおかず用で、主菜、副菜、果物用とイラスト付きで間仕切りを設けています。二重構造で内側の箱が回転し、主菜を食べたら、副菜、ごはんと、食べる順番を示し「ばっかり食べ」にならないようなメッセージがさりげなく入っています。下段はごはん用で、きちんとお茶碗を持って食べる習慣がつくようにと考えて、ごはん茶碗形になっています。何を食べたらよいのかを示す食事バランスガイドをイラストでわかりやすく示したランチョンマット、お箸はコンパクトにお弁当箱に収納でき、かわらしい巾着とセットされています。
具体的に栄養バランスや、食べ方などに、どのような工夫をされたのかについて、フジッコのマーケティング推進室 広告宣伝課 係長 新村 剛さんに、お話を伺いました。
子どもが欲しがるお弁当箱
「おべんとう丸くん」を開発されたフジッコ株式会社 マーケティング推進室 広告宣伝課 係長 新村 剛さん |
新村 まず景品として配布したお客様方からは「子どもが幼稚園に持って行って人気者になった」とか「楽しくお弁当を食べられるようになった」とか。そしてまたその「おべんとう丸くん」を見た別の子どもがほしがるので、ぜひ買いたいというお声や、栄養士の方々からも食育活動の場で使いたいので販売してほしいというお声も多かったですね。
その声に背中を推されまして、販売を検討しました。普通のお弁当箱というよりは、「食育」をテーマにした特徴のある形状だったことから、販売するならロフトさんがよいだろうとお願いしたところ、バイヤーさんからも「たいへんよい商品だと」という評価をいただき、期間限定で販売したところ大好評を得ました。当初は園児用として作ったのですが、今回は消費者、ロフトのバイヤーさん等からもご意見をいただき、サイズや色を見直しまして本格的に販売することになったのです。
上段は、おかず用。主菜、副菜、果物をいれます。クルクルと回して、「ばっかり食べ」を防ぐ工夫が施されています。 |
新村 まず初めの難関は、社内で猛反対されたことです。景品で「こんなお弁当箱を作りたい」と提案しても、「絶対誰もほしがらない、うまくいかない」とさんざんな反応でした。でも私は、どうしても社会的にメッセージ性のあるものを作りたかったんです。
またお弁当箱を作るために発注する業者さんにも、一般的なお弁当箱の形状のメリットをコンコンとお説教されたり、「こんなお弁当箱は作れません」とさじを投げられたり・・・。
南 身内の方々も、今のように好評を得るとは予想し得なかったわけですね。実は私も、食育のお弁当箱がなぜそんなに売れるのかわからなかったので、よく知りたいというのが、取材をお願いした正直な気持ちでした。