認知症の芽は食卓でのささいな変化で見分けられることもあります |
チェック1・呼んでもすぐに来ない
「ご飯ですよー」と声をかけても、すぐに食卓に着いたりせず、トイレに行ったり、手を洗ったり、着替えたり。さんざん家族を待たせることはありませんか?プライドの高いお年よりは、いそいそとテーブルに着くのをみっともない、と思ったりするようです。裏返せば、それだけ現在の自分の立場に無力感、悲哀感を感じているということ。気持ちの鬱屈から、認知症に発展する可能性がなきにしもあらずです。
チェック2・わき目もふらずがつがつ食べる
とかくお年寄りの話は、一方通行のことが多いもの。また、若い人の話になかなか入れず、会話の外に置かれてしまうこともあります。無言でわき目もふらず、がつがつ食べていたらほかのことに関心がなくなっているサイン!自分の殻に閉じこもり、ボケが進んでしまうこともあります。
チェック3・料理に文句をつける
「まあ、またフライ。年をとると脂っこいものは胃にこたえるんだけどねえ…」などとやたら文句を言う場合も気をつけて。台所を一手に任されていた若い時代と違い、自分の力や権力がなくなっていることに不満を抱いている印です。男性の場合は、大黒柱としての役目を失ったことへの寂しさから、こうした言葉を口にすることがあります。
チェック4・やたらとこぼす
礼儀正しく、食事のマナーもよかったのに、とにかくこぼす!醤油は服に垂らすわ、口の端からおつゆをこぼすわ…。こんな傾向も認知症の危険サインといえます。清潔を保つことに関心が薄れ、注意力も落ちているといえるでしょう。
チェック5・目新しい料理や食材に箸をつけない
お年よりは変化に対し、抵抗感を抱きがち。食べたことのない料理や食材は警戒してなかなか箸をつけようとしないものです。あまり意固地になっている場合は、警戒したほうがよいかも。変化を徹底的に回避しようとする言動は、それだけ保守的、内向的になっていることの現われともいえます。
寂しさや不満をやわらげてあげて
さて、こうしたサインにも見られるように、認知症は悲哀感や不満、鬱屈感といった感情とけっして無縁ではないようです。年をとって自信を喪失し、内向的、保守的になった挙句、起こるケースもあるよう。もしも上のケースにあてはまる項目があれば、そんな気持ちをやわらげるよう、対策をとるようにしましょう。
・待たされても、家族みんなで食事を。「一人で食べたほうが気楽なのね」と食事を自室に運んだりすると、よけい自分の殻に閉じこもってしまい、ボケが進みやすくなります。
・食事中はなるべく話しかけるようにしましょう。たとえば、お年寄りが昔よく作った料理の話、旅先で食べた美味しいものの話などを聞きだしてみて。
・ひとつのおかずをがつがつとわき目もふらず食べていたら、「お味噌汁も美味しいですよ」「酢の物もちょっと食べてみて」などと声をかけてください。
・多少こぼしても、エプロンなどをさせるのはなるべく避けたいもの。汚してもいい服に着替えるなどして、本人のプライドを守るようにしましょう。
自分のおかずを食べてしまってから「私だけ貰っていない」などと言い出したら、いよいよイエローサイン?!こんなときはすぐ、物忘れ外来などの専門医を受診するようにしたいものです。
【関連ガイドリンク集】
【参考文献】
「家族のためのぼけ防止作戦」式田和子 あすなろ書房