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民間療法で病気が「治る」、本当の理由

民間療法・健康法・健康食品の効果にはプラシーボ(偽薬)効果だけでなく、周囲からの注目がもたらすホ-ソン効果が関係しています。試して、症状が悪化したと感じた場合は直ちに中止して受診する事をお薦めします。

西園寺 克

執筆者:西園寺 克

医師 / 感染症・健康情報ガイド

よく聞く質問に「民間療法は効くの?」というのがあります。民間療法には医学的な根拠がないものが多いのですが、あながち、効果なしと言い切れないものもあります。

今回は、民間療法が持っている心理的な側面について、ご紹介しましょう。

「病は気から」「回復も気から」

偽の薬でも体調がよくなる「プラシーボ効果」は有名ですよね。似たようなものに「ホーソン効果」といわれるものがあります。これは、自分は周囲から注目されている…と意識することで現れる効果です。

民間療法・健康法・健康食品の効果には、このプラシーボ効果とホ-ソン効果が関係していると考えられます。この2つは相乗効果があります。プラシーボ効果×ホーソン効果がある民間療法などは、あながち無効とはいえないのです。それぞれの効果について、詳しくご説明しましょう。

プラシーボとプラシーボ効果

placebo_capsule"
placebo capsuleを略してcebocapです。
プラシーボ(偽薬)とは、乳糖や澱粉、生理食塩水で作られたニセモノの薬です。プラシーボ効果とは、この何の効果もないはずのプラシーボを、本物の薬と思い込んで飲むことで、体の変化や効果が現れることをさします。

この効果には、治療効果が出る場合もあれば、普通の薬と同じように、なぜか副作用が出る場合があります。例えば、「この薬は肌に良いですよ」というふれこみで、実際は何の影響もない乳糖を飲んで、肌荒れが治ったり、反対に肌荒れしたり…ということが起こりえます。

プラシーボに関係しているのは「暗示効果」と「自然治癒力」です。加えてパブロフの犬の実験で知られる「条件付け」も関係しています。

なので、民間療法や医学的に根拠のない健康食品でも、効果がある!と思い込むことで、本当に効果を発揮してしまうことがあるのです。

>>次ページでは、ホーソン効果について考察しました。>>
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