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都心回帰の終り? 新築マンション減少の背景(2ページ目)

都心部に新築マンションが次々と供給されて活況を呈した時代はもう昔の時代。供給が減りつつある都心の分譲マンション事情と、逆に増加傾向にある賃貸マンションを踏まえ今後の動向について紹介します。

岡本 郁雄

執筆者:岡本 郁雄

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都心回帰は止まらず?

総務省「住民基本台帳人口要覧」を見ると1990年代前半は、都心5区は人口流出が続いていました。中央区を例に挙げると、1990年の7万7325人から1997年の7万1806人まで人口は減少し続けています。

しかし、1998年を境に増加に転じ、2005年の9万5083人にまで増加しています。世帯数も同様に、1994年の3万3782世帯から2005年の5万2793世帯へと大幅に増加しました。他の区も同様に増加に転じています。バブル崩壊で手が届く価格での供給が増えたこと、良質な住宅が供給されたこととともに、職住接近のニーズが高まったことも挙げられるでしょう。

日本全体が、効率経営を重視し、労働の主たるサラリーマン層の時間に対する意識の変化も大きいと思います。
 

賃貸の2007年問題?

芝浦アイランドエアータワー
供給増の都心の賃貸マンションは、グレードの高い物件が多い。賃貸マンション内の競争も今後激化が予想される。芝浦アイランドエアータワーは、分譲と遜色ないスペックを兼備。
都心の賃貸マーケットでは、2007年前後に大規模な賃貸マンションの登場でマーケットがどうなるかが、話題になっています。その一つが、港区芝浦に誕生する芝浦アイランド エアータワー(三井不動産住宅リース、アール・エー・アセット・マネジメント 港区芝浦)です。平成19年2月の竣工予定で、予定総募集戸数が871戸と大規模です。同開発地には、先行して芝浦アイランド ケープタワー・グローブタワーが分譲マンションとして供給されていますが、3方向運河に囲まれクラブハウスもあるなど、賃貸マンションとしては、希少性の高いものといえるでしょう。

2005年の港区の、流入世帯数が3,465世帯だったことを踏まえるとその多さが分かります。その他にも東京ミッドタウン(六本木防衛庁跡地の再開発。広大な敷地にホテル・オフィス・商業施設・美術館と共に住宅が開発される。分譲は無くすべて賃貸。募集戸数は517戸。2007年春オープン)などビッグプロジェクトが目白押しです。

今後2008年に竣工するTHE TOKYO TOWERS(中央区)の非分譲住戸(全体総戸数2,799戸中818戸 詳細未定)などもあり、都心エリアでの賃貸マンションの供給は活発化しそうです。

街としてのコンセプトのあった大規模賃貸開発東雲キャナルコートCODAN(都市再生機構 中央区)が平成15年のオープン時大変人気だったように、洗練された都心の街に住みたいというニーズは、もともと高かったもの。分譲仕様に近い賃貸マンションが増えたという点では、あえて賃貸に期間を決めて住むといったスタイルも今後増えてくるかもしれません。

但し、都心部の賃貸マンションを見回すと入居募集の竣工物件はかなり目立ちます。シングルやDINKSで、将来の賃貸を考えて購入を検討されている方は、物件の優位性をよく見極め、将来の賃料設定の想定は慎重にすべきだと思います。実際、購入価格の上昇で、新築マンションの賃料利回りは低下傾向にあります。
 

インフレヘッジも踏まえて

新宿御苑の街並み
新宿御苑を一望できるロケーションなど、希少立地は人気が根強い。今後都心のマンション選びは、立地の見極めも重要。
都心のタワーマンションの購入者の中には、タワーマニアと呼ばれる人がいるそうです。東京や地方の富裕層の方で、キャッシュで購入し賃貸として貸し出すそうです。マンション用地に限らず、世界的な原料ニーズの高まりで、鋼材や石油など商品の価格が高騰しています。他聞に漏れずマンションの工事単価も上昇傾向にあるようです。

日本の個人金融資産は約1500兆円。そうした資金の一部が都心部の不動産といったインフレに強い商品に向かっていることも、不動産価格の上昇する一因でしょう。キャッシュ買いの場合は、金利上昇による返済リスクは少ないですから。

以上を踏まえると、当面は不動産の供給価格は下がりそうにありません。都心の中古マンション価格も上昇してきています。台東区・江東区といった都心5km圏で上昇傾向だったのが、私の実感値では足立区・江戸川区といった10km圏ぐらいに拡がってきているようです。

資金的に余裕がある方にとっては、今は判断のしどころ。築年数の浅い中古マンションも視野に入れつつ、検討してみてはいかがでしょうか。

【取材協力】(ケン・コーポレーション、ケン不動産投資顧問)


 
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