市販の睡眠改善薬は短期間の不眠に効く
薬局で買える睡眠改善薬は、短期間の不眠に有効です
実はこれらの商品には、すべて同じ「ジフェンヒドラミン」という薬が主成分です。ジフェンヒドラミンはもともと、アレルギーの治療薬(抗ヒスタミン薬)でした。風邪薬や花粉症の薬を飲むと、眠くなることがあります。これらの薬には、抗ヒスタミン薬が入っているからです。
ヒスタミンはクシャミや鼻水の原因物質ですが、脳の中では目を覚ます働きをしています。脳でヒスタミンの働きがブロックされると、覚醒度が落ちて眠たくなります。抗ヒスタミン薬の副作用である眠気を逆手にとって、睡眠改善薬として売り出したのが「ドリエル」などです。
「ドリエル」を飲むと、寝つきがよくなり、夜中に目覚めることが減り、睡眠の効率が上がります。しかしこの効果は短期間でなくなり、あまり長続きしません。そのため、1箱飲んでもまだ不眠が続くようなら、医師の診察を受けたほうが良いでしょう。
また目覚めてからも、薬の効果が続くことがあります。薬を飲んだ翌日は、車の運転や危険を伴う作業には十分気を付けてください。
メラトニンの睡眠改善効果は弱い
メラトニンより効く薬があります
メラトニンは、朝起きて明るい光を浴びてから14~16時間たつと分泌が増え、その後1~2時間たつと眠気が強くなります。夜のあいだにたくさん分泌されますが、朝日を浴びると分泌量が激減し、日中はほとんど分泌されません。
メラトニンには、催眠効果と生体リズムをずらす効果があります。不眠症に対する効果についての大規模な研究では、有効だとする報告と無効だという報告があり、今のところ決着はついていません。時差ボケ対策として飲むこともありますが、飲むタイミングが重要で、就寝前に飲んでも効果はありません。
2010年から、メラトニンと同じような働きをする薬「ラメルテオン」が、処方できるようになりました。武田薬品工業から出ている「ロゼレム」です。メラトニンに比べてロゼレムは、催眠効果・生体リズム位相変位ともに数倍の強さがあります。メラトニンを飲もうと思うのなら、医師にロゼレムを処方してもらったほうが賢明でしょう。
体質が合えば不眠に効く漢方薬
漢方薬を飲む前に、専門家に相談しましょう
抑肝散を原発性不眠症に患者さんに7日間飲んでもらったところ、客観的な検査データは変化しなかったけれど、緊張や疲労、頭痛が軽くなったという報告ぐらいです。
私も抑肝散を、ときどき処方しています。患者さんの体質に合えば漢方薬も、不眠症の改善に役立つと感じています。漢方薬を試してみたい方は、漢方診療に詳しい医師や薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか。
サプリメントの催眠効果は判断できない
サプリメントを飲むか飲まないかは、自分で判断してください
「セイヨウカノコソウ」は睡眠サプリメントとして有名で、欧米では全人口の5.9%が服用しているといいます。このセイヨウカノコソウを不眠症患者に投与した研究では、有効というものもあれば、有効ではないというものもあるというのが現状です。
サプリメントを長期間飲み続けたときの安全性は、まだわかっていません。ですから、不眠対策にサプリメントを飲む場合は、自己責任であることを十分理解しておいてください。
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