原因:脳と胃腸の連携異常
消化器は、食物が食べることで活動を開始します。特に胃は、空腹時にはほとんど活動していません。胃の役割は消化と考えがちですが、1番の役割は食物を溜めておく事です。2番目の役割が、溜めておいた食物を少しずつ、十二指腸に送り出すの事です。この当たり前の流れには、胃腸を動かす消化器の神経系と、それを調整する脳の自律神経系がちゃんと連係している必要があります。機能性胃腸症は、この連係に問題が起こって発生します。ストレスがあると悪化するのは、この連係に悪影響があるからと考えられています。
胃の慢性炎症は、主にピロリ菌という菌が原因で起こり、その場合は内視鏡検査でも異常が認められます。これまでは「ピロリ菌が関与していない慢性胃炎」と呼ばれていた病気が、「機能性胃腸症」です。この病名は、少し前の教科書には載っていませんし、いわゆる保険病名にもまだありません。
今までは正式な病名がなかったので、うやむやになっていましたが、この病気にかかっている人は非常に多いのです。推定では4人に1人が経験していると言われています。
治療:薬・偽薬・漢方薬など
偽薬も効くんです! |
経過観察
上腹部の症状が続いていても、炎症・出血・腫瘍がないので症状がどんどんひどくなる事はありません。特に何もせずに経過をみるという選択肢もあります。内視鏡検査で異常がないと聞いただけでも、安心するのかある程度症状がよくなるという報告もあります。
胃の動きを良くする薬を使う
自覚症状はいろいろですが、他覚的に見ると、胃から十二指腸への食物の送り出しが低下している場合が多いです。この現象は原因なのか結果なのか、もしくは両方なのか、まだ分かっていないのですが、胃腸の神経に働いて消化器の動きを良くする薬の有効性はかなり高いという結果が出ています。
脳に働く薬を使う
症状の変化には個人差がありますが、ストレスが症状を悪化させる事は確かです。ストレスを緩和する薬も有効です。
偽薬(プラセボ)を使う
本人が知っていてはダメでしょうが、偽薬を飲むのも有効なようです。偽薬でも半分近くの人で症状が改善するという報告がされています。気を休まるからかも知れませんね。
炎症・腫瘍がない機能性胃腸症は、西洋医学が苦手とする病気です。この場合、漢方薬の出番とも言えます。漢方薬では偽薬との比較がしっかりできていませんので、効果の評価は、はっきりとはいえませんが、試してみる価値はあります。
予防:まずはストレスのない生活を
まずはストレスが少ない生活を送る事が、機能性胃腸症の予防につながります。生活の中で何をストレスと感じるかは個人差が大きいところですが、なるべくストレスをためないように、上手に生活しましょう。【家庭の医学 オススメ記事ベスト5】
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