喫煙による身体への影響、周囲への影響を考えると、喫煙者にとって耳の痛い話はたくさんありますね。喫煙者は呼吸器や循環器、脳の疾患などをひきおこすことが知られています。

さらに腰までも痛める危険性があるのです。今回は、喫煙と腰痛についてお話させていただきます。

背骨のクッション椎間板を悪くするニコチン!

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「吸うとリラックスできる。」というのはスモーカーの感想。しかし、気付かないところで身体に変化が起きているかもしれません。
タバコの煙の中には、有害な化学物質が200種類以上含まれています。代表的なものは、ニコチン、タール、一酸化炭素、ホルムアルデヒド。この中で、腰痛の発症と関わりのあるものは『ニコチン』であるという研究データがあります。

背骨の骨と骨の間には、クッションの役割をする『椎間板(ついかんばん)』があります。椎間板自体には血管が無いため、椎間板周囲の毛細血管から栄養を得て、老廃物を流しています。

ところが、『ニコチン』は血管を収縮させる作用があるため、椎間板周囲の毛細血管までも収縮させてしまうのです。その結果、椎間板への栄養補給は不十分なものとなってしまい、椎間板が変性してしまいます。


ツラくて不快な腰痛をおこす椎間板変性

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椎間板はバームクーヘンのような線維輪の中央にゼリー状の髄核があり、ニコチンにより影響を受けてしまいます。
椎間板の変性後は、ツラくて不快な腰痛をおこす可能性があります。

椎間板の形状は右図のように、バームクーヘン(いくつもの輪が層になっている)の中心に水分を多く含んだゼリーを持つような形になっています。喫煙から『ニコチン』を摂取することにより、このバームクーヘン(線維輪といいます)が裂けて外側が損傷してしまったとします。すると線維輪の外側にある痛みの受容器が刺激を受け、「腰の痛み」を感じるのです。

また、椎間板のクッションの機能も失われてしまいます。椎間板は、70~90%が水分であるためクッション性に優れているのですが、変性すると、この水分が抜けてしまい、スカスカ状態になります。クッションの役割が衰えるため、腰椎の関節への負荷が増加し、関節周囲が炎症を起こすこともあります。関節への負荷がかかり続けると、腰椎の骨が増殖し(骨棘といいます)、増殖した場所によっては神経へ悪影響を与えるかもしれません。

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