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初夢が悪夢だったときの対処法・良い初夢を見る方法

【医師が解説】昔から「一富士二鷹三茄子」と縁起を担いで考えられていた「初夢」。新しい一年を最高の初夢でスタートするために試してみたい良い夢の見方、また、初夢が悪夢だったときの、昔ながらの対処法も含めてご紹介します。

坪田 聡

執筆者:坪田 聡

医師 / 睡眠ガイド

初夢をコントロールし、良い夢をみる方法はあるのか

迎春

あっという間に新しい年がやってきます。新年は良い夢を見て良いスタートを切りたいですね!

新しい年を迎える準備は万端ですか? お正月を迎えるころになると、少し気になるその年の「初夢」。新年の話題にもなりそうな、良い初夢を見る方法をご紹介します。

<目次>  

初夢とは? 初夢の意味・由来

まずは初夢についてのおさらいから。初夢とは、一般的には1月2日の夜に見る夢を指します。江戸時代の前半までは、大晦日(おおみそか)の夜から元旦にかけて見る夢を、初夢と呼んでいたそうです。元日の夜の夢を意味する説もあります。

一晩の間にも夢は何回か見ているため、夢の内容によってその年の運勢を占いたいという方は、大晦日の夜から1月3日の朝の間に見た夢の中で、一番良い夢を初夢だと考えてしまっても良いかもしれませんね。
 

初夢に見ると縁起が良い「一富士、二鷹、三茄子」

初夢といえば富士山

初夢といえば富士山

初夢に見ると縁起が良いものを表す言葉に、「一富士(ふじ)、二鷹(たか)、三茄子(なすび)」というものがあります。これはさらに、「四扇(おうぎ)、五多波姑(たばこ)、六座頭(ざとう)」と続くこともあります。

なぜ、この順番なのでしょうか? 「富士山、愛鷹山、初物のなすの値段」のことで、徳川家康の出身地である駿河国で高いものの順、という説が一般的です。他にも、「富士山、鷹狩り、初物のなす」を徳川家康が好んだことから、 語呂合わせで富士=無事、鷹=高い、なす=成すで、「無事に高いことを成す」の意味という説もあります。日本の伝統習慣については、書籍「日本人のしきたり」もご参照ください。
 

初夢に見たい夢・良い夢を見る3つのポイント

いい夢は質の高い睡眠から

いい夢は質の高い睡眠から

自分が見たい夢を見るポイントは3つあります。眠る前に見たい夢をイメージすること、良い睡眠をとること、目覚めた時に夢を覚えておくことです。

■見たい夢のイメージ
初夢信仰は中国から伝わったもので、はじめは夢を食う動物、獏(ばく)にあやかって、獏の絵を枕の下に入れていたようです。室町時代以降は、縁起の良い七福神を乗せた宝船の絵が使われていました。宝船は帆に「宝」と書いてあり、金銀財宝と七福神が乗っています。

「永き世の遠(とお)の眠(ねぶ)りの皆目覚め 波乗り船の音の良きかな」という歌がありますが、これは上から読んでも下から読んでも同じに読める回文で、良いことがずっと続くようにとの願いが込められています。

最新の夢見コントロール法でも、睡眠に入る前にリラックスした状態で見たい夢をイメージすると、その夢を見る確率が高くなることが明らかになっています。脳の前頭葉に記憶されたイメージが海馬の記憶と照合されて、夢のシナリオが作られると考えられています。

■質の良い睡眠をとる
寝る前の飲酒はほどほどに

寝る前の飲酒はほどほどに

眠る前や眠っている間の心身のコンディションは、睡眠の質を左右します。お正月だからといって、お酒をたくさん飲んで酔っ払ったまま寝てしまうのはあまりおすすめできません。アルコールは寝つきを良くしてくれますが、しばらくすると浅い睡眠となり夢を見にくくなってしまうのです。

また、ご馳走(ちそう)を食べ過ぎると、消化のため胃腸が休めず睡眠の質が低下します。食べすぎてしまう年末年始は特に注意して下さい。食べる量は腹8分目に抑えると良いでしょう。

質の良い睡眠にリラックスは欠かせません。眠る時刻の1~2時間前に、ぬるめのお風呂にゆっくりと入ってリラックスしましょう。そして、明かりを消した静かな寝室で布団に入ると、見たい夢を見られる確率が高まるかもしれません。

■見た夢を忘れない
夢を見るのは、一晩のうちに1回だけとは限りません。何度か見ていても、目覚めるまでに時間があると、忘れてしまうのです。見た夢を覚えておくためには、目が覚めたらすぐに夢を思い出して、記録を残しておくと良いでしょう。

色彩豊かな楽しい夢は、レム睡眠のときに見ることが多いものです。レム睡眠は睡眠周期の終わりにあり、睡眠の1周期は90分前後です。1時間半の倍数、つまり6時間や7時間半、9時間くらい眠って、すっきり自然に目覚めると夢を思い出しやすくなるかもしれません。
 

初夢が悪夢だったときはどうするか

夢にはいろいろな意味があって、解釈が難しいことがあります。フロイト以来、夢が持つ意味について、心理学の領域で研究が進んでいますが、まだわからないことが多いようです。

昔から夢占いというものがよく行われてきました。日本書紀によると、崇神天皇が後継者を決めるときに、二人の皇子の夢見によって決めたそうです。また、源平時代の左大臣・藤原兼実の日記「玉葉」には、すでに決まっていた皇太子が、夢見によって覆ったことが述べてあります。

中国には「獏(ばく)」という、夢を食べる架空の動物がいます。この故事にならって、悪い初夢を見たときは、翌朝、宝船の帆に「獏」という字を書いて川に流したり、土に埋めることで災難を避けてきたそうです。また、「夢は逆夢」と言って悪い夢を笑い飛ばしたり、神社やお寺へ「夢納め」に行くという風習もあるようです。昔は、「夢買い(替え)屋」という商売もあったのだとか……。時には都合よく縁起を担ぎながら、気持ちを高めてよいスタートを切りたいですね。

すてきな初夢を見て、新しい年を最高の1年にしてください!

夢についてさらに詳しく知りたい方は、「縁起のよい初夢を見る方法・夢見をよくするコツ」や「悪夢が怖くて眠れない……悪夢障害の原因と対処法」もあわせてご覧ください。

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