骨の弱ったお年寄りを脅かす「骨折」。とくに足の付け根部分にあたる「大腿骨頚部骨折」は寝たきりの原因となる、怖い骨折です。欧米人に比べ骨密度が低いといわれる日本人は、とくに気をつけたいところ。ところが、「骨がもろい」とされているにもかかわらず、日本人の骨折率は、意外にも欧米人より低いことが明らかとなっています。いわば「ジャパニーズ・パラドクス」とも言えるこの現象、いったいどのような理由に基づいているのでしょうか?



骨密度が低いのに骨折しないワケ


牛乳や乳製品を多く摂る欧米人に比べ、日本人のカルシウム摂取量は少なく、そのため骨密度も低いとされています。一人当たりの牛乳消費量は110ミリグラムと、欧米諸国平均の2分の1~3分の1程度。ちなみに、厚生労働省の国民栄養調査(平成14年)によれば、一人当たり一日分の摂取量は、546ミリグラムで、理想とされる600ミリグラムには及んでいません。

それにもかかわらず、日本人の骨折率は欧米諸国に比べ、低め。たとえば、日本とアイスランドにおける大腿骨頚部骨折発生率を比較してみると下図のようになります。



(引用:Schwarts AV et al.Osteopolosis Int.9 1999)

考えられる理由がひとつあります。それは、日本のお年寄りの多くが、今も
「畳に座り、布団を敷いて寝る」という和式の生活習慣を続けていること。
畳で生活していると、座ったり立ち上がったりといった、足腰の動作を一日に何度となく繰り返すことになります。また、布団で寝るためには、毎晩、押入れから布団を取り出して敷き、朝になれば畳んで押入れに戻さねばなりません。

こうした生活を何十年と繰り返していれば、意識していなくても自然と足腰が鍛えられてゆきます。筋力の強化だけではありません。バランス感覚もそれなりに養われることでしょう。椅子やベッドの生活を続けてきた人とは比べものにならないほど、リハビリ運動を積み重ねていることになるのです。


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