肝臓は糖新生で糖化を促進します
肝臓には糖新生という機構があります。少し生物エネルギー(ATP)を消費しますが、ブドウ糖以外の糖、一部の脂肪酸、中性脂肪からのグリセロール、アミノ酸、また無酸素運動の老廃物の乳酸などからブドウ糖を作ります。糖質を取らなくても、エネルギーになる脂質、蛋白質を摂取すれば、糖を作る事が可能です。ただし、肝臓は作った糖を必要な時までは、グリコーゲンという貯蔵糖質の形で保存しています。食間の空腹時や長時間の有酸素運動時には血中にブドウ糖を放出します。
ヒトは定住して農業で穀物を生産するまでは、もっぱら、糖新生でブドウ糖を作っていました。穀物から大量の糖質を摂取できる現在は、この機構が結果として糖化を促進しています。
筋肉は糖を消費して糖化を抑制します
筋肉がブドウ糖を取り込めば、結果として血糖値が下がり、筋肉以外の細胞の糖の濃度も低下し、糖化の害を減らす事になります。筋肉が使うエネルギー源の順番は、クレアチンリン酸→グリコーゲン→血中の糖・脂肪酸・アミノ酸です。
筋肉はクレアチンリン酸という非常に短時間運動用の蓄えがあります。ただし数秒しか蓄えがありません。とっさに物を避けたり、飛んだりするための蓄えです。
筋肉は血液中のブトウ糖を取り込みグリコーゲンとして貯蔵します。筋肉はドケチなので一度蓄えたグリコーゲンを自分で消費しますが、肝臓のように放出する事はありません。筋肉のグリコーゲンは獲物を追いかけるまたは、敵から逃げるための蓄えです。筋肉がこのグリコーゲンを無酸素運動で消費した場合の運動の持続時間は30~40秒ぐらいです。ですから日頃何も運動をやってない人でもこのグリコーゲンを使って30秒ぐらいは動く事ができます。
筋肉は血液中から取り込んだブドウ糖だけでなく、脂肪(脂肪酸)、アミノ酸からもATPを産生することができます。効率がよいのは、やはりブドウ糖です。細胞質の解糖系でATPを産生します。その後、筋肉細胞が酸素を十分に取り込めば、ミトコンドリアでさらにATPを産生します。
陸上競技の400m、スピードスケート500mでは、貯えたグリコーゲンに加えて、血糖を急速に消費して、瞬間的に低血糖になり、目が見えなくなるBlack outという現象が起きます。陸上競技の400mの全力疾走の練習は危険なので、一度に一回、一日に多くて二回です。