社会人の大学・大学院/社会人の進学・学生生活事例

工業高校卒業から博士号取得までの道のり(2ページ目)

家庭の事情であきらめた大学進学。その後社会人入試に挑戦するも失敗。しかしそこから独学で猛勉強の末、見事一般入試で大学合格。9年間かけて博士号まで取得してしまったツルさん(仮名)にお話をうかがいました。

西島 美保

執筆者:西島 美保

社会人の学びガイド

理系はレポートが多く、仕事との両立には体力・健康管理は最重要!
 

---電気通信大学電子工学科を選んだ理由は?
主な理由は4つあります。

まず、学費がリーズナブルである、次に通学・通勤が自宅から1時間以内、さらに夜間開講している学部がある、そして最後に工学系の講義が開講されていることです。この条件で学校を探したところ、電気通信大学しか該当するところがありませんでした。社内の先輩が同大に進学していたことも(大学を選ぶ際に)大きかったです。

修士課程も電通大大学院とした理由は、学内の推薦入試制度を利用できる点と、所属する研究室の教授に引き続き指導して頂きたい強い気持ちからです。
博士課程においても、指導教授の指導を受けたいという強い思いがありました。
博士号取得については、学部入学当初から狙っていました。

個人的な考えですが、大学院においては、どの先生に何を教授していただきたいか、が重要だと思います。幸い、私はとても素晴らしい先生の下で、学び・研究を進めることができました。

---実際に入学してみて、いかがでしたか?
そうですね。平均年齢は30歳前後くらいですが、25歳~40歳くらいまでの社会人学生がいました。社会人入試より一般入試で入った社会人が多かったです。

社会人学生というと響きがいいのですが、実際に仕事と勉強を同時に進めるには、不屈の精神と強い信念が必要です。特に理系ではレポートや課題が多く、大変な時期もありますので、体力・健康管理は重要です。
いつも睡眠不足で眠かったという社会人学生時代(写真はイメージです)

いつも睡眠不足で眠かったという社会人学生時代(写真はイメージです)



---そうですか。日々のスケジュールはどんな感じですか?
学部時代(4年間)は、16時半に会社を出て学校のある調布まで1時間20分かけて通いました。夜9時に授業が終わり、帰宅後レポートなどを仕上げ、深夜2時頃就寝、翌朝7時45分には仕事を始めていました。

---それは大変でしたね。会社は学業に配慮などしてくれましたか?
はい! それはもう! 上司、同僚とも本当に協力してくれましたねえ。出張や試験時など。感謝しています。

9年間の社会人学生生活にかかった費用は約500万円。費用対効果は?

---大学進学に伴い、何か日常生活で変化はありましたか?
高卒後、就職以来ずっと工場勤務でしたが、大学院(修士)時代に研究所に異動になりました(今はまた異動しましたが)。

待遇面についても、配慮を頂いていると感じる部分もあります。研究所時代は、裁量勤務制と社外発表、大学との交流などが盛んであり、通学に対しては比較的ハードルが低くなった気がしました。大学に通学することで情報を得たり、議論したりという意味で仕事に直結する部分もありました。

通学日は勤務を早めに切り上げ、それ以外の日は仕事を終えた夜、自宅で研究を続けました。週に2日はリフレッシュできる時間を設けていました。

博士課程時代は、少なくても週に1回だけ通学し、主に夜自宅で研究を続けました。これは指導教授が、メール等で対応をしてくださったおかげで、感謝しています。学会発表前など研究資料作成が忙しい時期にはがんばる必要があります。

---博士号を取るまでにかかった費用はどのくらいでしたか?
学部、修士、博士の9年間で要した費用は合計すると約500万円程です。学会発表や投稿、出張費用などは研究室や大学で出してもらえたので大きかったです(ちなみにお金がない研究室などに入ってしまうと、これらの費用は自腹になってしまうこともあるようです)。

費用を1ヶ月単位で考えると割高感がありますが、長期的にみた費用対効果は高いと思います。

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