大学生の就職活動/就職活動の選考対策

グループディスカッション…流れと役割を把握する

就活のグループディスカッション、測定される力は「チームワーク」だ。大切なことは「自分の役割」「他人の役割」「チームの目標」の3つをすべて達成すること。最後の「結論」はどうでもいい。「プロセス」が大切なのだ。

執筆者:見舘 好隆

必勝のコツ1「自分の役割をこなす」

グループディスカッション
ポイントは「素晴らしい意見」ではなく、「意見を主張する」ことである。
グループディスカッション突破のコツと対策!から続きます。

グループディスカッションは、「チームワーク」を測定している。「チームワーク」は「自分の役割」「他人の役割」「チームの目標」の3つをクリアしなければならない。

では、まず「自分の役割をこなす」こととはどういうことだろうか。

たいてい、グループディスカッションは以下のように進められる。

    • グループ(4~8人)に分けられる。
    • 課題が与えられる。
    • 時間が決められる。
  1. その他条件など。例:リーダーと書記を決めてください、模造紙に書いてください、など。
  2.  
以上のように指示されると、「自分の役割」は「リーダー」や「書記」などの役割と勘違いしてしまうかもしれないが、グループディスカッションは文字通り「議論」である。よって、基本的な「自分の役割」は、「自分の意見を主張すること」なのだ。

「自分の意見を主張する」コツを、列記する。
  • 与えられた時間÷人数分、しっかり話す。
話す時間が少なければ、自分の役割をこなしたことにならない。あまり発言しなくても通過することはあるが、それは「他人の役割」「チームの目標」達成への点数が高かったからだ。しっかり自分の意見を伝えることが基本であることを忘れてはならない。自分の意見が言えるように、前日には会社研究やニュースのチェックを怠らないようにしよう。

  • ゆっくりと、大きな声で話す。
早口で、もしくは小さな声で話しても、相手に伝わらなければ、意見を言ったことにならない。

  • 論理的に、簡潔に話す。
たくさん話しても、論理的でなければ相手は理解できない。また、ごちゃごちゃと複雑に意見を主張したり、いくつも意見を羅列したりしても、これまた相手は理解できない。コツは結論をまず言って、その理由を具体的に示し、最後にまとめる順番で話すとよい。面接で面接官と話すときと同じだ。

  • 全員に問いかけるように話す。
伝えたい人に顔を向けて、伝えたい気持ちを届ける気持ちで話さなければ、相手の心には届かない。席によっては顔が見えないメンバーがいることもあり得る。そんな時には立ち上がったり、身体をよじったりして、全員に均等に伝えようと努力しよう。

  • 笑顔で身振り手振りを使って話す。
怖い顔で話しても、強い口調で話しても、ただ嫌われるだけだ。柔らかな笑顔で、身ぶり手ぶりを使って話そう。相手に伝わるように、心を込めて話そう。

  • 道具を使いこなす。
ホワイトボードがあればぜひ使おう。書くものや紙があるなら、目の前で絵を描いて示してもいいだろう。わかりやすく自分の意見を伝えるにはどうすればいいのか、常に与えられた状況を生かすことを考えよう。
以上を遂行することで、チームに対し自分の意見をしっかりと主張できることを、傍から見ている人事にPRしよう。

必勝のコツ2「他人の役割を支援する」

グループディスカッション
ついつい自分の意見を押し通そうとしてしまうけど、それでは落ちちゃうよ。あと、そんな学生をうまくなだめるところが、腕の見せ所だ。
次に「他人の役割を支援する」こととはどういうことだろうか。

今回与えられた課題は「グループディスカッション」であり、「ディベート」ではない。自分の意見を押し通すことが目的ではないのだ。よく、自分の意見やアイデアを押し通そうとする学生がいるが、その学生はきっと落ちると思ってよい。そんな「空気が読めない」学生に人事は内定は出さない。

もうわかったと思うが、「他人の役割」とは、他のメンバーが意見を主張することである。すなわち「他のメンバーが意見を言いやすい環境を作る」ことが、「他人の役割」を支援することなのだ。

「他のメンバーの役割を支援する」コツを列記する。

  • 話し手の顔を見て、うなづく。
真剣に話を聴いてくれる人がいたら、嬉しくて誰しも話しやすくなるものだ。身を乗り出して、深くうなづいてくれたら、話下手な学生でもどんどん話してくれるだろう。その所作が、グループディスカッションの基本中の基本なのだ。

  • メンバーの意見をまず褒める。
どんな意見であってもまず褒めることだ。「素晴らしい意見ありがとう!」と褒めることで、話しては気分が良くなり、次の話しても話しやすくなる。話がわかりにくかったり、話に矛盾があったりなど、もし欠点があってもディスカッション全体に影響を与えるような大きな間違い以外は、指摘する必要はない。大切なことは、積極的な意見がどんどん生まれるような場を作ることだ。

  • メンバーの意見を復唱(リピート)・要約する。
メンバーが話した後、「君の意見は、~ということだね」と復唱(リピート)、要約するとよい。理由は二つある。まず、メンバー全員がその意見を正しく理解することが出来、次の意見が出やすくなったり、最後のまとめもしやすくなるからだ。また、復唱(リピート)、要約することで、話し手は君がちゃんと話を聴いてくれたと嬉しく思うだろう。結果、君はメンバーの中で少しずつ信頼を得ていくだろう。

  • 全員が意見を言えるように、うまくコントロールする。
必ず、自分の意見ばかり長時間話す学生、もしくは少ししか意見を言わない学生がいる。前者の学生に対しては、「君の~といった意見はとても素晴らしい。もっと個人的には聞きたいけど、まだ意見を言えてないメンバーもいるから、次の人に話す機会を分けてもらってもいいかな?」とうまくコントロールしてみよう。後者の学生に対しては、「まだ君の意見、じっくり聴かせてもらっていない気がするよ。きっと何か話せることあるのでは?ぜひもっと聴かせてよ。」とうまく話ができるようにつないであげるとよいだろう。

以上を遂行することで、チームのメンバー一人ひとりに対し、それぞれの役割を生かすことができることを、傍から見ている人事にPRしよう。

必勝のコツ3「チームの目標を達成する」

グループディスカッション
入社すれば、難しい課題が山ほどある。その課題に対しチームワークを発揮できる学生を採りたいのであって、今与えられた課題を解決する学生を採りたいのではないのだ。
最後に「チームの目標を達成する」こととはどういうことだろうか。

言うまでもなく、企業の人事が最初に提示した課題に対する答えを、時間内に、期待された質で用意し、発表することである。ここで大切なことを確認しておく。

人事は「プロセス」を観て選考しているのである。結論は全く評価はしていないと言ってよい。

よく考えてみれば、学生が数十分議論して出てくる結論が、実務に役立つわけなんてない。実際に役立つ結論を出せる力は、入社してから身につければよいのだ。現時点で求められるのはあくまでも「チームワーク」。わかりやすく言えば、課題なんて「今晩の夕食はどこで食べるか?」でもよいのだ。その課題に対して、チームワークを発揮できるかしか、見ていないのだ。

よって、いい結論を、いいアイデアを出そうなんてことにこだわるのは辞めたほうがよい。それよりも大切なことは、「チームの目標」を、つまり人事が与えた課題を時間内にこなすことに心血を注ぐべきである。素晴らしい、奇抜な意見を言おうなんて、考えなくて良いのである(少しでもいい結論を出そうする意欲は捨てないでね。熱意が疑われるから)。

「チームの目標を達成する」コツを列記する。
  • タイムマネジメントをする。
与えられた時間が30分なら、半分の15分をフリーディスカッションにあて、15分たった時点でそれまでの意見を集約し、方向性を定め、残り10分でその方向性で意見を掘り下げ、最後の5分を発表内容のまとめの時間にするとよい。最初に時間配分を決めてから話すとよいだろう。意見を出す時間、まとめる時間をしっかり確保しよう。

  • 意見が割れたり、混乱したら、一旦まとめる
議論が思う通りには進まない。二つに割れてもめたり、意見が支離滅裂になってまとまらなくなったりしてしまうこともあるだろう。そんな時は「ここまでの議論を整理したいと思う」と発言し、「意見として大きく二つに分けると…」など、問題点を整理することが肝要だ。まとまらないなと思ったら、例えば「残り時間があと○分しかありません。よってテーマを一つに絞りたい」と切り出すなど、時間が無いことを武器に、とにかく大雑把でも議論の方向性を定めるアクションが必要となるだろう。この「まとめる力」こそ、人事が最も期待する力の一つなのだ。

  • 場が停滞したら、視点を変えてみる
逆に話が盛り下がってしまった時には、どうするか。そんな時には、率先して視点を変えてみよう。「今までは実現性やコストを考えて意見を出し合ったけど、今度はお客様の立場で、どんなサービスが望まれるかを考えてみよう!」など、今まで出たアイデアを一気に捨てる勇気も必要である。結果、また議論が行き詰まったとしても、何とかしようと努力した学生を人事はきっと評価するだろう。

  • コンセンサス(同意)を得る
最後には議論した内容をまとめなくてはならない。よって、メンバー全員に発表内容の同意(コンセンサス)を取らなくてはならない。おそらくリーダーが発表者を兼ねると思うが、リーダーじゃなくても、この作業はできる。まとめようとした所作は、充分人事には伝わるはずだ。

  • 意見のタイトルを決める。
意見をまとめるコツは、まずタイトルを決めることだ。タイトルを決めて、その内容を箇条書きにすると、発表がぐっと論理的にまとまる。この作業がプレゼンテーションの基本スタイルとなる。
以上を遂行することで、チームの目標を忘れず、その達成のためにチーム全体に働きかけることができることを、傍から見ている人事にPRしよう。
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最後に、もう気が付いた人もいると思うけど、グループディスカッションにおける役割は「リーダー」が最も有利である。リーダーが最も発言機会が多くなるからこそ、最も目立って、人事へのPRにもなりやすいからだ。もし立候補で手を挙げるのが遅れてリーダーになれなかったときには、サブリーダーになった気持ちで臨もう。

グループディスカッションで測定される力は主に「チームワーク」である。よって、大切なことは「奇抜な意見」ではなく、「自分の役割」「他人の役割」「チームの目標」の3つをすべて達成することだ。最後の「結論」はどうでもいい。「プロセス」が大切なのだ。

<INDEX>
  1. 苦手なグループディスカッションを得意にする方法!
  2. グループディスカッションで測定される力
  3. 前日までの準備「会社研究」「友人との練習」
  4. 必勝のコツ1「自分の役割をこなす」
  5. 必勝のコツ2「他人の役割を支援する」
  6. 必勝のコツ3「チームの目標を達成する」
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