大学生の就職活動/就職活動の準備

年功序列は日本企業の成長の鍵だった 2(4ページ目)

年功序列は時代に合わない、これからは成果主義だと言われて久しい。しかし、思ったほど成果主義が日本の企業文化にマッチしていないのも確か。年功序列が持つメリットを加味した制度を持つ会社を選ぶべきだ。

執筆者:見舘 好隆

君が会社を選ぶ時のポイントは?

やる気
単に知名度や給料だけで会社を選んではダメだ。その会社に自らを成長させてくれる「仕掛け」があるのかどうか。もう一度チェックしてみよう!
さて、ここまで年功序列制度と成果主義制度の良し悪しを学んできた。理解できただろうか。

きっと気が付いたと思うが、やはり今の日本においては、年功序列と成果主義のどちらかに偏ってはダメだということだ。そして、その点を押さえた人事制度の変革を行っている会社を選ぶことが、ある程度長期間、モチベーションを維持してその会社に身を投じることに繋がる。つまり、「年功序列や終身雇用」及び「成果主義」の良いところをうまく活用した人事制度の有無こそが、会社選びの重要なポイントとなると考えていいと思う。以下、そんな人事制度に必要なポイントを述べたいと思う。

  1. 社員をブラッシュアップする制度を持っているのか?
    福利厚生として、もしくは人事制度として、「社員のスキル獲得を支援する制度」があるのかは、非常に重要だ。なぜならば、例えば目標が達成できなかった場合、単に「次頑張れよ!」ではなく、「君はこの力が足りないと思うから、この研修でその力を身につけてはどうか?」と言われたほうが、スッキリするし、やる気も出るからだ。英会話や簿記などビジネス関連資格取得支援、リーダーシップやマネジメントスキルの獲得支援、さらにはコーポレートユニバーシティという「社内大学」を持つ企業だってある。社員には、無料もしくは割引価格で、これらの「自らを向上させる支援制度」を正々堂々と働きながら受講できるならば、不平も出ないだろう。わざわざ、自費とプライベートの時間を投じる必要がないなら、頑張れると思わないか?
    ※記事「フリーターは本当に自由なのかの考察」に詳しく載ってるよ。
  2. 社内資格制度を持っているか?
    スターバックス・ジャパンギャップジャパンアシックス歩人館キヤノンなどなど、社内資格制度を持っている企業もある。資格を取れば給与が上がるだけでなく、担当する業務のスキルを向上させることを会社が公に支援していることに意味がある。そして、その講師はまぎれも無くその会社の先輩社員。先輩社員が仕事をちゃんと教えてくれる制度があることは、その会社の大切な「秘伝のたれ」継承にも繋がる。
  3. 成果だけでなく、プロセスも評価してくれるか?
    成果だけを重視されていては、その努力の過程を無視することとなり、社員は目標に到達しないと思った時点でその努力をやめてしまうだろう。よって、プロセス評価は非常に大事だ。例えばマイクロソフトはスピードの速いIT業界の中でも珍しい年度評価で、かつ結果ではなくプロセス重視の評価を採用している。つまり、いかに優れた結果を出しても、そのプロセスを再現できるか、他に応用できるか、他の人に広められるかもチェックしているわけだ。確かにたまたまいい結果を出した社員よりも、その結果へのプロセスを語れる社員のほうが有意である事は言うまでもない。
     
  4. 個人だけでなく、チームワークも評価してくれるか?
    前述したが、富士通はいち早く成果主義を取り入れたがうまく行かず、2005年に個人よりチームワーク重視に修正した。年功序列によって構築されていた先輩後輩とのリレーション、つまりチームワークが成果主義によって瓦解し、結果業績も下げてしまったからだ。個人目標の中に、チームでの目標達成を必ず制度として加味しなければ、成り立たないことを富士通は示している。また、日本マクドナルドは管理職の人事評価に「後継者育成」を組み込んだ。つまり、自らの後任を育成することを目標に設定したのだ。この新しい人事制度で業績回復を富士通は図れるのか? 日本マクドナルドの改革はうまく行くのか? これから見守っていきたい。
     
  5. 公平で透明性のある人事評価制度を持っているか?
    例えば配属によって目標達成の難度が左右されたらたまったもんじゃないし、上司と合う合わないで左右されるのも困る。よって、必要な制度は「社内公募制度」「キャリアチェンジ制度」だろう。自ら新しい部署に飛び込んだ結果であれば、例えその部署固有の問題に悩まされたとしても、不平不満は生まれにくいはずだ。また、目標達成における評価や報酬が、その会社全体の業績によって左右されるのも困るだろう。例えばIBMでは、アメリカのJob Descriptionのように、担当業務のスキルやコンピテンシーのグレード及びその詳細が明示されていて、その要件をクリアしていることを社員自ら人事に申請し、その審査を通ればそのグレードの給与や待遇を得られるようになっている。そしてそれは会社の業績には左右されないし、その審査をするのは上司ではない。IBMのこの制度は、社員みんなが努力しグレードを上げてしまった時、人件費が高騰しないか?というリスクがある。しかしながら、社員のグレードが上がれば自ずと会社全体の力も増し、業績が上がるはずだ。それぐらいスッキリした評価制度でなければ、社員も努力はしない。


以上、どう思っただろうか?

どうせなら、長く同じ会社で働き、その会社の様々な制度で自らを向上させてくれる会社で成長した方が、将来どんなキャリアへ進むとしても効率的だし、損は無い。

単に知名度や給料だけで、会社選びをしてはいけないことを、心に留めておいて欲しい。






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