大企業の人事部は、学歴差別を行っているのか?
選考フローを分析してみると、学歴差別を行っている可能性は否定はできない。じゃあどうすればいいのか? |
『AERA』2004.3.15号「『学歴とコネ』人事部の本音」に以下の記述がある。
- リクナビは上位校の学生が予約画面に入る場合と、下位校の学生が入る場合とで、会社説明会の空席情報を変えて表示している。
- 大企業は上位校の学生獲得のため、リクルーターを用い東大や早慶の学生を釣り上げている。
- 人事もサラリーマンだから、実績の無い大学の学生を採って出来が悪ければ言い訳ができない。大学名で採るのはリスクヘッジだ。
2004年3月の記事なので、現状には幾分変化があるだろうし、リクナビなど採用サイトで学校名によるスクイージング(面接可能人数にまで応募者数を絞る作業)をしているかどうかの真偽の程は明らかでない。
しかし、選考フローを分析してみると、学歴差別を行っている可能性は否定はできない。
記事「企業が内定者を決定する過程を考察する」でも述べたが、大企業は以下の3つの選考フローで学生を採用している。
- プロモーション(採用母集団を集める)
リクナビなど求人サイト、就職ジャーナルや新聞広告、会社案内、会社ホームページ、合同説明会など
- スクイージング(採用母集団を絞る)
会社説明会、エントリーシート、筆記試験
- フィルタリング(採用者を選定する)
面接、グループディスカッション、ケースインタビュー
- エントリーシートがナナメ読みされてスクイージングされている事実を否定できないこと。
- 学校名でのスクイージングが内部で行われている事実を否定できないこと。
- その他、性別や住所、一人暮らしor実家、浪人、留年、成績などの理由でスクイージングが内部で行われている事実を否定できないこと。
しかし、そうじゃない学生は、エントリーシートはナナメ読みで読み飛ばされ、もしくは自己PRの内容以外の要因のために、一度も自己PR、つまり「企業が求める基礎力」を伝える機会すらも与えられない可能性が高い。また、「東一早慶」など入学偏差値が高い大学の卒業生がたくさん大企業にいる以上、リクルーターの数においても勝つことは難しい。永野仁は語る。
「就職や採用で差別が発生しやすいのは、不確実な情報のもとでの意思決定であるので、識別が容易な指標にしたがってたとえば企業が行動することになり、結果として『統計的差別』が生まれるからである。」(『大学生の就職と採用』永野仁)
決して断言はできないが、就職活動における学歴差別は特に大企業において存在し、そしてその中小企業との年収の差がそのまま繋がっているとするならば、学歴と年収の相関は、統計的にはあり得るのだろう。
でも、私は、だからといって、「東一早慶」など入学偏差値が高い大学以外の学生が、大企業の内定や高い年収を諦める必要など全く無いと考えている。確かに統計学的に有利であることは確かだが、それはあくまでも平均値。可能性はゼロではない。
というわけで、これからは学歴差別を吹っ飛ばす戦略を一緒に考えていきたい。
※次のページで、親の年収との相関を吹っ飛ばせ!
※就職活動で、大学差別を感じた学生は32.5%、男女差別を感じた学生は21.7%いる。
(出典:『大学生の就職と採用』永野仁)
※ソニーのように完全に学歴不問にしている大企業もある。でもそれが一般化される気配はない。
(出典:『大学生の就職と採用』永野仁)
※ソニーのように完全に学歴不問にしている大企業もある。でもそれが一般化される気配はない。