マンション駐車場の平均設置率は51%
マイカーを保有するには自動車の保管場所の確保が義務付けられておりますが、マンションなどの集合住宅では全世帯数分が用意されていることは稀(まれ)です。
(社)日本自動車工業会による「乗用車市場動向調査」では乗用車の保有世帯率は約8割(平成13年)であるのに対し、(社)高層住宅管理業協会などによる委託調査では全国主要都市でのマンション平均駐車場設置率は51.4%(平成11年)という結果が出ています。つまり、統計上では常に約3割の方が駐車場を借りたいが、スペース不足により借りられない、ことを意味しているのです。
大都市圏別駐車場設置率 (単位:%)
駐車場代を徴収するそのワケ
戸建住宅で駐車場使用料を支払わないことに何の疑問も感じないのと同様に、マンションでは駐車場を借りれば、その使用料を負担することは“当然”として、使用料の支払いを拒否する人は皆無でしょう。しかし、当該駐車場使用料が何に使われているか関心を示す人がどれくらいいるでしょう。
駐車場使用料の使い道
1.維持・管理費用(特に機械式の場合)
2.管理費会計への一部負担
3.駐車場を使用する者としない者への不公平感の解消
一般的に、徴収した駐車場使用料は上記3つの使途が考えられます。平置き式駐車場では通常、メンテナンス費用が発生することはありませんが、狭い敷地で駐車場台数を確保するために機械式(立体式)駐車場を利用している場合、その維持費はかなり高額となります。
2番目の「管理費会計への一部負担」とは、管理費に余剰金が発生した際に、本来であれば将来の大規模修繕に備え修繕積立金へ計上するのが理想ですが、管理費会計として処理してしまう場合がほとんどなのです。管理業者によっては“見た目の”管理費額を低く抑えるために、初めから駐車場使用料を管理費会計へ一部充当することを想定しているケースもあり、こうした場合では、仮に全台数が埋まらないと、逆に、管理費自体が不足する懸念があります。
最後の「不公平感の解消」とは、「駐車場を使用する」という利益を享受する対価としての側面を意味します。駐車場を「利用できる」「利用できない」という格差を埋める手段として、金銭的負担を活用しているのです。
駐車場使用料が「タダ」の損得勘定
以上、駐車場使用料の使途を解説してきましたが、「代金の使い道」が明白になることで使用料が無料であることが居住者にとって有益であるかどうか(?)の判断ができるようになったと思います。
近頃は、修繕積立金の高さを逆にセールスポイントとして営業をしている分譲マンション業者も見受けられます。一般的に「修繕積立金は不足しがち」という前提に立ち、相場より負担額は高いが、その分、大規模修繕時に追加負担などの心配が少ないということをアピールしているのです。
『損して得取れ・・・』という精神が、ここでは生かされています。
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