この問題の解決方法を、香山リカさんは教えてくれる。
「自分について考えることと、就職することとは、とりあえず切り離して考えた方がいい、ということ。次に、就職だけすればいいというわけではなくて、自分について考えることは長い時間をかけてこれからもせざるをえないだろう、ということ。そして、自分について考えていると、しばしば悲観的、否定的な方向に進みがちだが、あなたはそう捨てたものでもないし、あなたらしさはすでに外からはできつつあるようにも見えるから、もう少し自分を信頼してみても大丈夫だ、ということ。」(出典:『就職がこわい』)
玄田有史さんは教えてくれる。
「無理にやりたいことなんてみつけようとしなくても、チャンスはやってくる。ある日、突然やってくる。そしてチャンスの訪れる確率は、仕事をしていない場合よりも、仕事をしている場合の方が高い。働かないよりは、できれば働いたほうがいい理由は、ただそれだけだ。やりたいことを実現するために、仕事をするんじゃない。今の自分も知らない、自分のやるべき『本当』に出会えるかもしれないから働く。そのために一歩だけ、踏み出すことだ。」(出典:『ニート』)
最後に私を素材に、みなさんに伝えたいこと。
私だって実は「ニート」予備軍だと思っている。いつだって「何がやりたいのか?」に悩み、「いつかは認められるぞ!」なんてプライドも少なからず持っている。香山さんが言うとおり、長い時間をかけなくてはきっと答えは出ないことだって知っている。でも、今でも何とか家庭を営んでいるし、こうやって本業とは全く関係ない記事を書く余力もある。この記事を書くための勉強に、プライベートの時間をつぎ込むことだってできている。なぜできているのか? それは間違いなく、恥ずかしいながら確固とした信念も無く、新卒正社員の道を選んだ恩恵だったのだと、今になって思っている。そして「何がやりたいのか?」のヒントを手に入れるチャンスは、玄田さんが言うとおり、仕事の中にたくさんあったことも、知っている。
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さて、まだ「ニート」になっていない大学生のみなさんへ。
仕事を意識するきっかけは、「機会創造」からしか生まれない。「やりたいこと」なんてリクナビは決して教えてくれない。「やりたいこと」はむしろ仕事をしてみて初めて気づくんだ。
「不本意な新卒正社員」と「とりあえずフリーターorニート」と比べたら、格段に前者が有利だ。だって、不本意だろうと何だろうと、与えられた仕事を「機会創造」と考えれば同じこと。同じなら、履歴書に映える経歴の方がいいじゃないか。
正社員にこだわること自体がみみっちい? 今はそう思うかもしれないけど、将来正社員になりたいと思う可能性は否定できないよ。
親が許せばニートになれる。でもいつまでも親は元気かわからない。
フリーターにはいつでもなれる。でも正社員にはいつでもなれない。
この現実を認めて、「開き直る」勇気が、ほしい。