そもそも、「企業が求める力」って何なのさ?
「その質問は、どの力を測っているのですか?」 |
厚生労働省の「若年者の就職能力に関する実態調査」(2004年1月)によると、「コミュニケーション能力」「職業人意識」「基礎学力」「資格取得」「ビジネスマナー」を持ちえる学生の採用可能性は60%を超える指摘している。また、ディスコの「採用活動に関する調査」(2005年10月)によれば、「コミュニケーション能力」が最も高く、次に「熱意」「バイタリティ」と言った価値観に基づくものと、「基礎学力」が重視されていることを指摘している。
参考までに、リクルートワークス研究所が発表した「基礎力」を紹介しておこう。※各説明文は私が追記した。
- 対人基礎力
- 親和力…一緒に働く仲間と信頼関係を築く。
- 協働力…目標に向けてチームワークを発揮し仕事を進める。
- 統率力…いわゆるリーダーシップ。組織全体を把握する。
- 対自己基礎力
- 感情制御力…感情に流されない。
- 自信創出力…いわゆるポジティブシンキング。モチベーションを持ち続ける。
- 行動持続力…率先して行動し、それを習慣づける。
- 対課題基礎力
- 課題発見力…課題に気づき、整理する。
- 計画立案力…課題を解決するための計画を立案する。
- 実践力…立案した計画を実行する
- 処理力
- 言語的処理力…文章の要旨を把握し、その目的を理解する。
- 数量的処理力…計算する、グラフ・表を読み取る。
- 思考力
- 論理的思考力…すでに集めた情報を組み合わせ、分析し、構造的に理解する。
- 創造的思考力…全くのゼロから思考する。オリジナリティな発想をする。
また、厚生労働省が定義した「若年者就職基礎能力」は以下。
- コミュニケーション能力
- 意思疎通…自己主張と他人の意見を聴くことのバランスをとりながら、効果的に意思の疎通ができる
- 協調性…双方の主張の調整を図り、調和を保つことができる。
- 自己表現能力…状況にあったプレゼンテーションを行うことができる。
- 職業人意識
- 責任感…社会の一員としての自覚を持っている。
- 向上心・探求心…働くことへの関心や意欲を持ちながら、進んで課題を見つけ、レベルアップを目指すことができる。
- 職業意識・勤労観…職業や勤労に対する幅広い見方・考え方を持ち、意欲や態度等で示すことができる。
- 基礎学力
- 読み書き…事務・営業職の職務に必要な文書の知識を持っている。
- 計算・計数・数学的思考力…事務・営業職の職務に必要な数学的な思考方法や知識を持っている。
- 社会人常識…社会人として必要な常識を持っている。
- ビジネスマナー…集団生活に必要な気持ちの良い受け答えやマナーの良い対応ができる。
さて、次に問題になるのは、企業はどうやって「企業が求める力」を決定しているのかという点だ。
例えば、ソニー株式会社は「求める人物」を以下のように定義している。
- 新しいことができる人
- 新しいやり方をする人
- 新しい考え方を持っている人
(出典:ソニー(株)採用情報)
イオン株式会社は以下のように定義している。
- 自ら主体性をもってものごとを判断し、実行できる人
- チャレンジ精神に富み、発想や行動の転換がドラスティックにできる人
- 状況の変化に柔軟かつスピーディーに対応できる人た
- 課題を発見し、自ら解決のプロセスを導ける人
- リーダーシップを発揮してチームを導き、結果を出すことができる人
- 自分の将来のビジョンを明確にもっている人
(出典:イオン(株)新卒採用情報)
ソニーやイオンは、どうやってこの「求める力」を決めたのだろうか。人事担当が思いつきで決めるはずは無い。何らかの方法がきっとはずだ。
その方法を、一緒に考えてみよう。
※次のページで、「企業が求める力」は、どうやって決めているのか?を紐解く!
※経済産業省が定義する「社会人基礎力」は以下。
- チームで働く力
- 主体性…物事に進んで取り組む力
- 働きかけ力…他人に働きかけ巻き込む力
- 実行力…目的を設定し確実に行動する力
- 前に踏み出す力
- 課題発見力…現状を分析し目的や課題を明らかにする力
- 計画力…課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
- 創造力…新しい価値を生み出す力
- 考え抜く力
- 発信力…自分の意見を分かりやすく伝える力
- 傾聴力…相手の意見を丁寧に聴く力
- 柔軟性…意見の違いや立場の違いを理解する力
- 情況把握力…自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
- 規律性…社会のルールや人との約束を守る力
- ストレスコントロール力…ストレスの発生源に対応する力