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東大卒にはフリーターが多い!?(6ページ目)

フリーターはダメなんて、言うつもりは無い。でも「とりあえずフリーター」だけはダメだ。なぜならその道は時が経てば経つほどイバラの道になるから。「モラトリアムの延長」でフリーターだけは絶対選んじゃダメだ。

執筆者:見舘 好隆

「やりたいこと」を試す作業を、大学生時代に行うことがベストだ。


「自分が本当に何をしたいのかを知るには、これはと思うものを実際に試してみるしかないのだ。当然のことながら、ほとんどの人は未知の領域にいきなり飛び込むのを嫌う。我々は自分の夢を試してみなければならない。さもなければ、いつまでも夢のままで終わってしまう。」(出典:『計画しても“第二のキャリア”は成功しない』ハーミニア・イバーラ)

記事「自己分析なんか、もうしない!」でも述べたとおり、大学生時代に最も意識して行うキャリアプランニングの準備運動は、「試してみる」ことだ。

つまり、フリーター経験を大学生時代に積んで、その中でやりたいことを模索することだ。

「フリーターはどこへ行く?」(『東京大学新聞』2005年1月25日)の中で矢野眞和・東京大学教育学研究科教授は述べる。

「“やりたいことを考えてから仕事をみつけましょう”という、現代の進路指導に原因があるのではないか?
(中略)“仕事は『やりたいこと』に基づいていなければならない”という強迫観念が生まれてしまうのだ。
(中略)フリーターは“『やりたい仕事』でなければ、正社員になりたくない”と、自分の夢と違う職業に就くことを恐れてしまう。」


「やりたいこと」は、やってみなければ本当に「やりたいこと」かどうかはわからない。

なのに「やりたいこと」じゃなければ正社員にならないなんて、おかしい。

本当に「やりたいこと」は、
「やりたいことかどうかわからないけど、とりあえずやってみた仕事」
を手掛かりに、ずっと考えて考えて辿り着くものなのだ。


大学生時代なら、「試してみる」ことに、何のリスクも無い。試してみて違ったら、また違う仕事を試してみればいい。そのためのモラトリアム期間なんだから。

その作業を、人生唯一の恵まれた採用機会である「新卒採用」で試すのは、あまりにも無謀だ。そしてその恵まれた「新卒採用」を活用せず、わざわざリスクの高いフリーターを選ぶのは、もっともっと無謀だ。

幸い、第二新卒の転職市場は買い手が多い。最悪、新卒採用の機会を活用して正社員になって、職場や仕事に合わなくて3ヶ月で辞めたとしても、転職の道は比較的広い。

でも、フリーターから正社員の道は、かなり険しい。

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みなさんのプライドはわかる。

でも、だからこそ、そのプライドを、新卒採用の機会を失することにだけは、使わないで欲しい。

そのプライドを、将来の自分が見出した道へと歩み出す時まで、取っておいて欲しい。



※当然、中学・高校、そして大学1~2年生におけるキャリア教育が重要であることは言うまでも無い。文部科学省は中学2年生を対象にした兵庫県の職場体験活動週間「トライやる・ウィーク」を来年度から全国で展開する方針を固めた。大学においても立命館大学、立教大学などが大学1~2年生向けにキャリア教育を必須科目としてカリキュラムに組み込んだ。「試してみること」が大学3年生向けインターンシップでは遅すぎることに、やっと気がつき始めた。

※また、企業も社員のキャリア教育を、人材戦略の一環として位置づける時期に来たことを意識すべきだ。つまり終身雇用・年功序列制が終わったからといって、正社員雇用を抑制し、社員へスキル獲得などの投資をも抑制するのは馬鹿げている。スキルが手に入らなければ、優秀な社員ほど転職する。優秀な社員へと育てあげることこそが、会社へのロイヤリティへ繋がることを忘れてはならない。昔の日本のように、職人のように背中を見せるだけで部下が学んでくれる時代は終わった。コーチングの技術を用いて、全社戦略として社員のキャリアを育てる施策が最も今、必要なのだ。


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