マンション管理/マンション管理費の相場

だぶつくマンション供給! 売れ残り住戸が管理費を食い潰す

需給バランスのかたよりで、売れ残り住戸はその数を増やしています。未契約住戸のある管理組合では“こんな”危険と隣り合わせになるのです。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド

東京・港区の人口に匹敵する供給数


皆さまのマンションに「売れ残り住戸」はありますか?総務省が発表する2003年住宅・土地総計調査結果によると

全国の総住宅数:5387万戸
全国の総世帯数:4722万世帯

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マンション販売は今後、さらなる激戦を繰り広げる
だそうです。国立社会保障・人口問題研究所の推計(中位推計)では、日本の総人口は2006年に1億2774万人でピークに達したあと長期減少過程に入り、2050年には1億60万人になるとされています。「住宅数」が「世帯数」を上回る過剰状態(家余り)にあり、さらに総人口も減少が予想されるなか、首都圏では毎年8万戸超、近畿圏では同3万戸超の新築分譲マンションが建設かつ販売され続けています。日本全国ではおよそ16万戸(年間)に達し、その数は東京都港区全体の夜間人口15万9336人(平成12年国勢調査)に匹敵します。

賃貸から分譲へ移る方がいれば、親元から独立してマイホームを取得する人もいるでしょう。しかし、その数が毎年16万人以上いるとは考えにくく、「売れ残り」が発生することは避けられないものと考えております。

全戸完売の大前提がなり立たない


管理費や修繕積立金は、当然ながら全戸完売を前提に金額が計算されています。具体的には、各専有部分の床面積割合による共有持分に応じて算出されます(区分所有法第14条1項)。その対価として「各共有者は(中略)その持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する(同第19条)」ことができるわけで、未契約住戸が存在することは、当該前提が成り立たない危惧があるのです。

いったい誰が負担する?


基本原則として、管理費等の負担義務者は当該専有部分の所有者ですので、引き渡しが住んでいない住戸は売主(分譲マンションの現所有者)が管理組合へ支払わなければなりません。そこで、こうした“当然の”基本原則を分譲業者がきちんと履行していれば、管理組合の会計処理上、不都合(不足)は生じません。

ところが、あれこれと理由をつけて一切支払わない売主もあり、とある中小分譲業者では「建物完成後6ヶ月間は、たとえ住戸が契約にならなくても売主は修繕積立金を負担しない」ことを書面にしている例もありました。「すぐ契約者は見つかりますので、心配ありません」と管理組合へ説明(言い訳???)しているのを耳にし、腹立たしさを通りこして呆(あき)れてしまいました。

   一句「不動産業者の常識は、一般消費者の非常識」 byガイド

管理組合としての対処法


常識から考えても許されるべき行為ではありませんが、売れ残り住戸をかかえるマンションでは以下の点にご注意ください。

■ 毅然(きぜん)とした態度で請求する

いかなる理由を言われても、管理組合は毎月「管理費」と「修繕積立金」を売主から回収しましょう。その際「毎月」がポイントで、なかには「契約者が見つかったらまとめて精算をする」売主がおりますが、毎月きちんと請求してください。

■ 棟内モデルルームは要注意

分譲業者は売れ残り住戸を「現地モデルルーム」として開放し、営業を続けることがありますが、第三者(見学者)が自由にマンション敷地内に入ってこれますので、防犯上の注意が欠かせません。そして、最も懸念するのが値引き販売です。販売会社の常套(じょうとう)手段として「モデルルームとして使用しているので、値引き販売は問題ない」と主張しますが、既契約者からすれば納得できるはずがありません。しっかりと目を光らせましょう。

■ 敷地内駐車場の優先案内

また、売れ残り住戸を販売するための「切り札」として、モデルルームの来場者に対して「敷地内駐車場の優先案内」をすることがあります。売主が敷地内駐車場の一部をおさえてしまい、既入居者に配分せず「販売促進の材料」として活用する、というものです。

こうした行為はどう考えても管理組合を軽視していることに他ならず、一方的な都合を押し付けられてはたまりません。きとんと売主と話し合いをしてください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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