デフレ脱却へのシグナルとなるのか?


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長引く不景気も雪解けの気配が・・・
2004年10月29日に発表された日本銀行の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)によれば、9人の政策委員が示した2005年度の消費者物価指数は中央値が前年度比0.1%の上昇(見通し)で、97年度以来8年ぶりの物価上昇を予想しました。同レポートは消費者物価などの中期的見通しを示すバロメーターとなるだけに、デフレ脱却へのシグナルとも取れる結果です。また、9月の完全失業率(総務省)は4.6%と前月比で0.2ポイント低下し、02年1月につけた5.6%から徐々にピークアウトしていることも、景気の改善を示唆するデータといえます。

しかし、止まらぬ原油高や、日経平均株価は1万1000円をはさんだ攻防を繰り返す上値の重い展開が続き、また、金融政策決定会合でも日銀当座預金残高の目標を現状で据え置くことを決定し、いわゆる「ゼロ金利」政策はいまだに出口が見えない状態です。一部の指標からは明るい兆しも読み取れ、経済のファンダメンタル(基本的基盤)はその体力を取り戻しつつありますが、中期的な見通しには不透明色が強く、今後、住宅ローン金利がどのように動くのか予想することは簡単ではありません。

 

金利決定のメカニズム


そもそも金利には「短期金利」と「長期金利」があり、短期金利はその時々の資金需要や日銀の金融政策によって決定されます。やや乱暴な表現をすれば、日本の中央銀行たる日本銀行が操作することが可能なのです。その典型例がまさに「ゼロ金利政策」です。

一方の長期金利は、日銀の政策よりも国内経済はもとより物価や海外の金利、さらに為替などの外部環境がどのように変化していくかを予想し、予想の結果がプラス(期待できる)と出れば金利は上昇し、逆に、マイナス(不景気が継続)となれば金利は低下します。長期金利の指標となる「新発10年物国債」の利回りをみる限り、過去7年間にさかのぼって利回りが2%を超えたことはなく、98年9月と02年5月の一時的な利回り低下を除いて、そのレンジ(変動幅)は1.0~2.0%に完全におさまった状態です。

こうした過去の経緯から推測するかぎり、あくまで私見ではありますが、長期金利が2.0%を継続的に上回るタイミングが、「金利が上昇する」か「低金利を維持し続けるか」のターニング・ポイントとなりそうです。


金利上昇への備え


金利が上昇をはじめてから“事後”対策を取ることは賢い方法といえません。低金利の今のうちに、金利上昇に備えることが「成功の方程式」と言えます。そこで、金利上昇による返済負担対策をご紹介しましょう。

 余裕資金の確保

金利が上昇した場合のセオリーとして、すぐに「住宅ローンの見直し」を検討しますが、前提条件としては金利が上がったことで返済が増えたとしても、増えた分も含めて無理なく返済が続けられるようにすることが先決です。

「今後、金利は上がるかも知れない(?)」今のうちにできることは、まず預貯金をして万が一に備えることです。インフレ時には相対的に貨幣価値が目減りするように、デフレ時には現金(キャッシュ)がもっとも価値が高いことはご存知の通りです。

 繰上げ返済

住宅ローンの残高を減らすことで金利上昇をヘッジする、最もポピュラーな方法です。まとまった資金がなければ話になりませんので、上記「余裕資金の確保」とも関連してきます。

注意点として、期間短縮型の繰上げ返済を行い住宅ローンの返済期間が10年未満となった場合、今度は「住宅ローン減税」が受けられなくなることがありますので、同減税の控除期間がかなり残っている方はお気をつけください。

 変動金利から固定金利へ変更する

「金利は上昇を続ける」と確信できれば、思い切って固定金利へ切り替えることも有益です。返済中の金融機関によって固定・変動間の変更をどの程度認めているか異なりますので、変更の柔軟性(自由度)をかんがみながら、「タイミング」を見誤らないよう検討しましょう。

 給与の増加が期待できる可能性もある

景気動向の一般的な考え方として、長期金利が上昇することは景気回復を伴っているはずですので、経済原則からすると「金利上昇=景気回復=給与のアップ」となります。ローンの返済が増えてもその分収入も増えていれば、相対的な負担はかなり軽減されるはずです。


繰り返しますが、「金利が上昇」することは景気回復を前提に起こりえるのが本来ですので、必要以上に金利上昇を警戒することはありません。短期間による“急激”な金利上昇さえ起こらなければ、住宅ローンへの影響は限定的です。

ローン返済と平行して預貯金を貯めることが、すべての解決策への近道です。


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