「こんなカンジですから、良く聞いてて下さいね。
『あ～～(間約3秒)…●○いるか?』」
「………」
「これが社長です。で、常務ですが、
『(掠れ声で)…ごくろうさん。○○は？』」
…字で上手く表現できないのがもどかしい(笑)。
そうです。迫真のモノマネで教えてくれたのでした！
完璧な言葉遣いと、 聞き取り易い声の、とても可愛い彼女が！
突然声を変え、しかも声を似せようと思うと顔もついてくるのか、派手に顔を歪めての迫真の演技？に、初対面の私は少々リアクションに困りました。
だって…知らない方のモノマネを見ても、似てるかどうかわからないですもの…。
ですが、その声と表情(笑)を頭に焼き付けて、お仕事を始めて数十回目のコール…ついにかかってきたんです。
「あ～～(間約3秒)…●○いるか?」
そっくり～～～！！私は心の中で叫びました！
迷わず「社長からです」と電話を取次ぎ、無事、ご機嫌を害される事なく、初日を終える事が出来たのでした。
それから、数ヶ月の派遣期間中、休憩時間や暇な時、彼女はよく、前日見たテレビドラマの内容を、見ていない私に話してくれました。
役者さんの声マネ付きで(笑)。
その後再放送でそのドラマを見た時、セリフやストーリーを、まるで見た事があるかのように感じて、改めて驚いたものです。
彼女は、テレビで一度見ただけの、セリフやシーンを、ほぼ正確に再現していたのですね…。
モノマネ上手は耳が良い…と聞いた事がありますが、彼女のこの能力(ちから)…才能に加えて、毎日多くの電話を取り、正確に要件を聞き、
再現して取り次いできた交換手のお仕事で培われたもののように思えました。
電話応対の極意とは…モノマネできてしまう程の集中力を持って、
『聞く』ことか…。
そう思いつつ、私はまた別の会社に流れて行ったのでした…。
(「一般事務」メールマガジン14.15号「コラム」を加筆)
※このおはなしは、実話を元にしたフィクションです
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