ガイド宮下が注目した改定のポイント
今回の改定では、前述の通り、多数の加算が創設され、保険者側の分科会委員からは「保険者の事務負担が増える」という声も上がりました。事務負担増への対応の時間が必要ということもあって、早めの答申となったのだと思います。今回の改定で、私が注目したポイントは以下の通りです。
- ケアマネジャーの担当件数オーバーによる逓減制の見直し
- 訪問介護のサービス提供責任者の業務に関わる加算の創設
- 短時間・個別のリハビリテーションの評価の創設
- 介護福祉士を多数配置している施設等への加算の創設
- 施設等における認知症対応への加算の創設
ケアマネジャー介護報酬の逓減制見直し
担当件数オーバーによる介護報酬の逓減制は、特に独立系居宅介護支援事業所から悲鳴が上がっていた問題でした。これが今回、下記のように変更されることになりました(いずれも月単位)。○担当件数40件未満の場合
要介護1・2 1000単位
要介護3~5 1300単位 → いずれも現行通り
○担当件数40件以上60件未満の場合 (これまで → 21年度から)
要介護1・2 600単位 → 500単位
要介護3~5 780単位 → 650単位
適用範囲 全ケース → 40件以上60件未満の部分のみ
○担当件数60件以上の場合 (これまで → 21年度から)
要介護1・2 400単位 → 300単位
要介護3~5 520単位 → 390単位
適用範囲 全ケース → 40件以上の部分のみ
居宅介護支援については、「要介護度に関わらず、同じ報酬とするべき」という意見が出ましたが、厚生労働省としては「ケアマネジャー1人あたりの平均担当件数は27件でありオーバーケースへの該当は多くない。また、該当しても担当件数がオーバーした部分だけ逓減するよう変更したのでご理解いただきたい」とのこと。しかしその分、逓減の幅が大きくなり、40件を超えると報酬は半額、あるいは1/3となっているのですが。でもまあ、たとえば50件担当した場合、請求できるのはこれまで3万単位だったものが、4万4500単位なので、改善されたと言えるかもしれません。
居宅介護支援に関しては、ほかにも「退院・退所加算=400または600単位/月」「認知症加算=150単位/月」「独居高齢者加算=150単位/月」「小規模多機能型居宅介護事業所連携加算=300単位」などの加算が創設されました。こうした改定について、日本介護支援専門員協会会長の木村隆次氏は「ケアマネジャーの頑張りを評価してもらえたと思う」と肯定的に受け止めていました。
現場のみなさんは、どう思われますか?
ケアマネ業務に関する加算が複数創設されたのは、もちろん、負担が大きい現場業務への評価だとは思います。しかし、こうした部分的評価ではなく、以前から言われているように居宅介護支援事業所が独立運営できるモデルケースを示したうえでの報酬設定をしてほしかったと思います。それは次回改定への宿題、ということなのでしょうか。
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