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介護職の1000万円プレイヤー(2ページ目)

介護職の離職率の高さは、給与が上がればそれで問題解決となるのでしょうか。給与アップは不可欠ですが、将来に夢が持てるような環境を整えていくことも必要では?

執筆者:宮下 公美子

先に夢が持てる環境作りを

介護・福祉職にも、「夢を持ち、好きな仕事に取り組んでいる」という人はたくさんいると思います。しかし、残念ながら現状では「いい仕事をしていけばいずれ評価され、収入も増える」とはなかなか思えません。
収入は実力次第、など思いも寄らないことです。

また、介護・福祉の仕事に就いていると言うと、返ってくるのは「カッコイイ」ではなく、多くは「えらいねぇ」ということば。「えらいねぇ」には「たいへんなのによくやっているよね」というニュアンスが感じられ、あまり言われてうれしい感じがしません。この言葉は、介護・福祉職の「世間からの見え方」を表しているような気がします。

こうしたことを考えていったとき、私にはどうも、給与が上がれば介護・福祉業界の人材不足問題はそれで解決、という気がしないのです。「あなたの一票」で尋ねた「離職率を下げる」という1点だけを考えたときには、たしかに有効かもしれない。もしかしたら、人手不足もある程度解消されるかもしれない。

しかし、人手が集まればそれでいいのか、というと疑問が残ります。介護・福祉職は、たとえ給与がよくなったとしても、「給与がいい」というだけで選んでもらっては困る仕事だと思うのです(もちろん、給与水準が上がれば、質の高い人材が集まり、給与水準だけに惹かれた人は排除されていく、とも言えると思いますが)。

「あなたの一票」には、「キャリアアップの道筋を示す」という選択肢を入れました。この選択肢を選んだのは、わずか4%の方でしたが、私自身は、給与を上げると共に、「キャリアアップ」「自己実現」など、夢を持てる環境作りも同時に進めていく必要があると思っています。

頑張れば、もっといいケアが提供できる。頑張れば、給料が上がる。頑張れば、役職に就ける。頑張れば、独立できる。
頑張れば、精神的にも物質的にも、さまざまなものを手に入れられるという「夢」を持てるからこそ、人は頑張れるのだと思うのです。しかし現状の介護・福祉業界では、「頑張れば、もっといいケアが提供できる」といった夢ぐらいしか、実現できそうに思えません。いま給与が低くてつらい上に、先に夢が持てないから、息が続かなくなってしまうのではないでしょうか。

ある有料老人ホーム運営大手企業に話を聞いたとき、「介護職の1000万円プレイヤーがいてもいいじゃないか」という話がありました。この企業は、多数のホームを展開しており、昇進のチャンスが多いことが職員のやる気を向上させていると言います。今後はさらに、「現場で高齢者に接するのが大好き」という職員のために、マネジメントではなく現場で介護の仕事を極めることで、高給が得られる仕組み作りを進めようというのです。

お金がすべてではありませんが、現場で介護の仕事を極めれば、「介護職の1000万円プレイヤー」になれる、と聞くと、少し夢が持てると思いませんか?

マネジメントでステップアップしていくもよし。現場でキャリアアップするもよし。独立して、自分の理想の介護が提供できる場を作るもよし。そうしたさまざまな道筋を示すことで、将来に向け、夢を持って働けるようになるのではないでしょうか。そして、一般の人たちから見ても、「介護や福祉の仕事って素敵だな」と思えるようにしていくことも、とても大切なことだと思います。

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