本人や家族の介護度についての理解が適切でない
これも意外に多いケースです。近所の知人は杖もつかずに歩いているのに要介護1だが、なぜ杖なしでは歩けない私が要支援1なのだ。こういったことは、苦情には至らないまでも、認定調査に行くとよく聞く話です。実は、その近所の知人は歩行には問題はないが、人工透析を受けていたなど、要介護度にどのような心身の状況が影響してくるかを知らずに不満を訴えるケース。
疲れやすいから掃除がつらい(けれど、何とか自分でできている)、この頃つまずきやすくなって不安だ(けれど転んだことはないし、外出も一人でできる)、食事を作るのが億劫だ(けれど、自分で弁当を買ってきて食べており、体重の減少も体調不良もない)というレベルで非該当になり、不満を訴えるケース。
あるいは、ADL自立の認知症のかたで、1ヵ月以上前は問題行動で非常に介護の手間がかかっていたけれど、いまはだいぶ落ち着いているというケース。家族はたいへんだったときのイメージが強く、重い要介護度を期待しますが、認定調査において問題行動として認められるのは1ヵ月以内の行動だけです(特記事項に以前の問題行動を書くことはできます)。現状落ち着いている場合、問題行動の項目判断としては「なし」となり、あまり重い要介護度はつきません。そのあたりはなかなか家族には理解しにくいため、不満、苦情になりやすいと思います。
しかし、こうした点について、高齢者や家族に周知していくのは難しいことです。やはり不満があれば区分変更申請をしてもらい、再調査をしても変わらない、という結果を受けて納得してもらうしかないのかもしれません。
>>次のページは【福祉用具が使える、使えないの境目で】