実践向きの教育内容に
科目割が大きく変わり、たしかに実践的な内容になるのかな、という印象を持ちました。たとえば、以前の「老人福祉論」では、介護保険制度についてなど、一通りさらう程度で詳しい理解は難しい内容でした。しかし今回の改定により、介護保険制度の内容、各専門職の役割、連携、地域包括支援センターの役割と実際、高齢者虐待防止法などについてもシラバスに盛り込まれており、必要とされる知識を網羅しやすくなっていると感じました。また、実際の現場で社会福祉士が果たしていくべき「権利擁護」「就労支援」といった業務も、科目名として立てられています。また、2007年度から刑務所や医療刑務所への社会福祉士の配置が始まったことから、「更生保護」の科目も立ち、刑事司法の中での更生保護などについて詳しく学ぶことになりました。こうした点を見ると、これまでのように基礎的な知識を学ぶだけでなく、現場で生かしやすい知識を身につけられる内容だと思います。
ただ、現職者が学ぶことが多い通信課程においては、講義系科目に関する面接授業をなくしたことが気になります(養成施設任意での実施は可)。社会福祉士に最も求められている相談援助技術を身につけるため、面接授業は、原則、実習関係のみ。また、これまで通学課程の半分の時間数とされていたものを、通学と同じ180時間の実習義務づけとしたことも、現職者にとっては大きな負担になると思います。
私は一般養成施設の通信課程で学び、社会福祉士を取得しました。
通信課程で学ぶのは、言ってみれば自分との戦いです。
自宅で分厚い教科書を読み、課せられたレポートを平均すると毎月1.5本ほどのペースで書いていく。これは、物書きを生業としている私でもかなりつらかったです(詳しくはガイド記事「16本のレポート書きに追われ続けた半年」を見てね)。資料を読むだけで、ナマの話を聞かずに理解するのは、本当にたいへん。途中で通学講座にすれば良かっただろうかと悩んだりしたものです。
それでも、2回に分けて行われた面接授業(スクーリング)で、講師にわからないところを質問したり、同じように頑張っている仲間と知り合って励まし合ったりすることで何とか乗り切ることができました。ですから、講義系科目に面接授業なし、は、無事修了できるかどうかが、受講される方の意志の強さ等に依るところが今まで以上に大きくなる気がします。
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