移動、研修時間等の賃金未払いの事業所が多数!
最後に、訪問介護員の非正社員に対して、移動、ミーティング、書類・報告書作成、待機、研修など、サービス提供以外の時間分の賃金を支払っているか、という項目についてです。常勤ヘルパーはどの項目も、5割以上の事業所が支払っているのですが、登録ヘルパーになると、5割以上の事業所が支払っている項目はなし。逆に「待機時間」は5割以上の事業所が支払っていないと答えています。「移動時間」や「書類・報告書作成時間」は4割近くの事業所が支払っていない、とのこと。利用者宅間の移動にかかる時間は労働時間として認められている |
同じ通達には、利用者からのキャンセルなどで、ヘルパーが休業することになった場合は、事業所が平均賃金の6割を支払う義務があることも書かれています。
こうした支払われるべき賃金が支払われていない場合は、この通達に従えば、「賃金一部不払い」があるとして、事業所に請求することができます。
みなさんも、「移動時間が算定されていない!」「キャンセルの日の扱いがおかしい!」など、気になることがあったら、「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」をご覧の上、ぜひ、事業所に確認してみてください。
それでも事業所が支払わない場合、どうすればいいか? 厚生労働省労働基準監督局に聞いたところ、その事業所を管轄している(所在地のある)労働基準監督署に相談すれば、場合に応じて事業所に支払うよう指導もしてもらえるとのこと。ただし、相談する場合は、賃金が発生する移動時間やキャンセルの事実などが、客観的に証明できる資料(勤務表など)を持参してほしいとのことです。
労働基準監督署への相談についてはこちらのサイトに詳しく書かれていますので、参考にしてください。
【以下、2007年9月27日加筆】
……と書いたのですが、サイトユーザーのかたから、「支払うべきとの規定はあるが、移動時間等については介護報酬ではカバーされていないのが現実」というご指摘をいただきました。記事ではその点への配慮が足りなく、まるで事業所が意図的に搾取しているかのように受け取れる書き方になっていました。
このことにつきまして、事業所運営で苦労されている経営サイドのみなさんには心よりお詫びを申し上げます。
しかし、この件についてまったく知らされていない登録ヘルパーさんがいるのも事実。このような規定はあるが、経営状況により支払うのは難しいなど、労使が腹を割っての話ができるといいのではないかと思ったりしました。
制度面でのいろいろな縛りがあり、介護保険事業所はどこも運営に苦労されていると思います。コムスン的な過剰な営利追求はあってはなりませんが、労使双方が協力して利益確保できるといいなぁと思います。
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