在宅介護事業の苦戦が歴然
これらの企業の利益率を見てみると、最も低いのは、営業利益が赤字になっているジャパンケアサービスを除くと、0.52%のセントケアホールディング。セントケア以外も、在宅介護事業を中心に展開している企業は、最も高くてもニチイ学館の2.63%でした。一方、この中で利益率が高いのは、有料老人ホームレストヴィラシリーズを展開している「ワタミ」の14.3%。ついでアミーユシリーズの有料老人ホームを展開している「メッセージ」でした。
有料老人ホームの方が利益率が高いことは承知していましたが、これほど違うとは知りませんでした。有料老人ホームは、特定施設の指定を受けると介護保険からの報酬が得られます。そしてそれ以外に、独自のサービスに対する介護料などを加算して利用者に請求することができます。
しかし在宅介護は、基本的には介護保険の介護報酬だけでの運営。保険外サービスにはどの企業も取り組んでいますが、それが収益を大きく増やすところまでには至っていない様子。ですから、3%に満たない利益しか出せていないのだと思います。
利益率だけで比較すると、商社やホテルを上回っている企業もありました。しかし、給与水準を比べると、おそらく基本給が1.5~2倍ぐらい違うのではないでしょうか。人件費を圧縮して、ようやく利益を確保している。それが介護・福祉業界の現実ではないかと思います。
数字に表れているのは、こうした状況です。
介護報酬に縛られている介護事業は儲からない。だから、介護職の給与も上がらない。
私はこう感じていましたし、多くの事業者への取材では「とにかく経営が厳しい」という声しか聞こえてきませんでした。しかし、最近、一部の経営トップの中に、非常に儲けているにもかかわらず、それを現場職員にまったく還元していない人がいる、という噂を耳にしました。事実だとしたら許せません。
そんな噂はあくまでも噂だ……と思う気持ちもあり、2007年8月の「あなたの一票」では、「自分の事業所、施設の経営者は介護保険事業で儲けていますか?」という質問をしました。すると、「かなり儲けている」が23%、「全く儲けていない」が60%でした。この結果、あなたはどうとらえますか?
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