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猛威をふるうノロウイルスへの対策(3ページ目)

ノロウィルスを原因とした、下痢と嘔吐を引き起こす感染性胃腸炎が大流行中。高齢者施設や保育所でも集団感染が続発しています。症状と対策について紹介します。

執筆者:宮下 公美子

感染者の吐瀉物、便の処理方法

そして、施設などで感染者が出た場合には、吐瀉物、便の処理には十分に注意することが必要です。

■吐瀉物の処理
塩素系漂白剤
次亜塩素酸ナトリウムは薬局で売っているが、手に入らない場合は塩素系漂白剤で代用してもよい
1.処理する際には、使い捨てのエプロン、手袋、マスクを着用し、次亜塩素酸ナトリウム(または塩素系漂白剤)の6%溶液、ビニール袋、ぼろ布や紙ナプキンを用意します。
2.ボロ布や紙ナプキンなどで、吐瀉物の周囲を囲みます。
3.それを吐瀉物の周囲から中ほどに向けて拭き取っていきます。
4.拭き取ったらすぐにビニール袋に入れ、そこへ次亜塩素酸ナトリウム溶液を振りかけて口を閉じ、もう一度ビニール袋に入れます。
5.吐瀉物を拭き取った床を、次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸した布で10分程度覆います。
6.布を取り除き、水拭きします。

※カーペットなど、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒が難しい場合は、汚物を取り除いた後で、アイロンなど72度以上の蒸気が出る器具や掃除具を当てて1分以上熱すればノロウィルスを除去できます。

※施設では、吐瀉物の処理が不十分な床を多くの入所者が車イスで通り、床→車イス→手、というように汚染され、感染が拡大したケースもあります。デイルームや廊下などで嘔吐した場合は、車イスの消毒も忘れないでください。

※次亜塩素酸ナトリウムや塩素系消毒剤は強い刺激臭があり、気化するとのどを痛めやすいので、扱うときは必ずマスクを付けましょう。また、施設での使用の際は、入所者を近づけないようにし、十分な換気も忘れずに行ってください。

■便の処理(おむつ交換)
1.処理する際には、使い捨てのエプロン、手袋、マスクを着用し、次亜塩素酸ナトリウム(または塩素系漂白剤)の6%溶液、ビニール袋、ぬらしたぼろ布や紙ナプキン、洗浄用のぬるま湯を用意します。
2.おむつを開けて、おしりに付着している便をぬらした布や紙ナプキンで、外から内側に向かってぬぐいます。
3.取れにくい便にはぬるま湯を掛けて洗浄します。
4.新しいおむつと交換し、汚れたおむつ、おしりを拭いた布や紙ナプキンはビニール袋に入れて次亜塩素酸ナトリウム溶液を振りかけ、口を閉じ、もう一度ビニール袋に入れます。

■ポイント
・ノロウィルスは乾燥すると、空気中をただよい、それを吸い込んで感染することもあります(前述のホテルのケースなど)。吐瀉物や便などは、乾燥しないうちに手早く処理しましょう。
・処理の過程で自分の手が汚染された場合は、流水で丁寧に洗い流します。


感染してしまったら

残念ながら、ノロウィルスの抗ウィルス薬はありません。医師の処方による症状を軽減する薬を飲み、体を休めて症状が治まるのを待ちましょう。ただ、吐き気がひどく水分が十分に摂れないと、高齢者は脱水症状を起こすことがあります。その場合は、点滴による水分補給などの処置が必要になります。

感染しても、お風呂やシャワーは一番最後に入り、よく洗い流せば、利用しても大丈夫です。万一、風呂場で排便、嘔吐してしまった場合は、前述のような方法で次亜塩素酸ナトリウムによる消毒を行ってください。

とにかく感染力が強いので、施設の職員のかたは、感染してしまったら、他の人にうつさないために少なくとも吐き気がおさまるまではお休みした方が安全です。繰り返しになりますが、吐き気や下痢がおさまっても、トイレの後は石けんを泡立てて流水で丁寧に手を洗うことを忘れずに。

ノロウィルスによる感染性胃腸炎は、例年、12月下旬から2月頃までがピークです。感染しない、させない、という気持ちで十分に気をつけながら過ごしたいですね。
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