養成施設卒業者しか
「准介護福祉士」を名乗れない理由
この准介護福祉士は、なぜ突然、法改正案に盛り込まれたのでしょうか。一つには、これまで卒業すれば介護福祉士資格を取得できていた養成施設ルートの人への経過的配慮。養成時間数も1650時間から1800時間へと増やされており、一定以上の知識と技術を持っている(はずな)のに、試験に合格しなかった場合、「無資格」と見なされてしまうのは厳しすぎる、ということです。
おかしな話ですね。
社会福祉士だって、養成施設を修了して国家試験を受験し、不合格になった場合は「無資格」です。なぜ介護福祉士にだけ救済措置を設けるのか、どうもよくわかりません。
そもそも、養成施設ルートに国家試験を義務づけることにしたのは、養成施設によって卒業生のレベルに差があることが問題になり、試験を課すことで一定以上の水準を確保することが目的の一つでした。せっかく介護職全体のレベルアップのために、どの取得ルートをたどっても国家試験受験が必要になるという制度改正をしようというのに、このような不可解な資格を新たに作るのでは、3歩進んで2歩下がる、という気がします。
この裏には、入学者が減り続けている介護福祉士養成施設への配慮があるともいわれています。これまでは国家試験なしで介護福祉士という国家資格が取得できることが、一つのアピールポイントであった介護福祉士養成施設。卒業後に国家試験が課されることになれば、大きなアピールポイントを失うことになります。ますます入学者が減るのは十分想像できること。そこで、准介護福祉士なる資格を創設して、介護福祉士がとれなくても准介護福祉士にはなれるよ、という道を残したのでは、と見られています。
だから、准介護福祉士を名乗れるのは養成施設ルートだけ。実務経験ルートや福祉系高校ルートはもともと国家試験受験が義務づけられていたこともあり、不合格になってもこれまでどおりで、准介護福祉士を名乗ることはできないという案になったようです。
そして、もう一つ准介護福祉士創設の大きな理由があります。それは次のページで。