支援費制度との統合については、賛否両論があります。財政が安定することでサービスが充実できる、障害者のリハビリノウハウが高齢者に活かせる、障害者を支えてきた意欲的なボランティアに高齢者介護の場面でも活躍してもらえる、といった賛成意見。
これに対して反対意見は、税で福祉サービスを受け、障害者年金や生活保護費で何とか自活してきた障害者に、保険料や1割の自己負担分を余裕はないということ。要介護認定で利用限度を決められたら、現在受けている生活上最低限必要なサービスを受けられなくなる可能性があること。要介護認定で最重度と認定されたとしても、その利用限度内のサービスでは地域で暮らせない障害者は、選択の余地なく施設で暮らすことになる、あるいは施設にすら入ることができず、生きていくこと自体が難しくなる危険がある、などなど、相当切実です。
厚生労働省障害保健福祉部は、この統合案について本腰を入れた検討に入り、2004年1月20日、全国自立生活センター協議会など7障害者団体に、統合協議に参加するよう正式に要請しています。
【介護保険がとてもうまくいっている、とは言いきれない状況なだけに、障害者の方々が不安に思うのは当然のこと。しかし、両制度の財政が破綻してしまう前に、何らかの手は打たなくてはなりません。低所得の障害者に対する保険料減免措置、介護保険外の低額有償ボランティアの組織など、仕組みをうまく作っていくことで、両制度を統合してしっかり財源を確保する方が現実的な気もします】
論点その2・【保険者の規模】
介護保険の保険者は、現在、(区)市町村。保険福祉サービスを一元的に提供する意味で現行のままがよい、という意見と、小さな市町村は保険料の負担が非常に高くなり、今後、保険を維持していくのが難しくなるケースも想定されるため、広域化、あるいは国、都道府県が保険者になることも検討すべきという意見が出ています。介護保険関連事務の一括処理などによる間接費用の削減につながる広域連合の編成にはメリットがある、という意見が出たものの、適正規模がどれぐらいなのかはまだ判然とはしていません。
【確かに、財源の少ない市町村がすべてのメニューを必要十分なだけ揃え、保険料を背負っていくのはかなりの負担。これは介護保険料の市町村格差という問題にもつながっていて、問題は複雑です。ちなみに、保険料は最高額が北海道鶴居村の5942円、最低は山梨県秋山村の1783円で、格差はなんと3.3倍にもなります。これがこの先どんどん広がっていくのでは、という心配が、被保険者にはありますよね】