特別養護老人ホームや老人保健施設での介護に疑問を感じた人たちが、有料老人ホームに転職するケースが目に付くようになってきました。特別養護老人ホーム、老人保健施設という介護保険施設と、有料老人ホームは、どこが違うのか。有料老人ホームとは、介護職にとってどんな職場なのか、考えてみました。

有料老人ホームとは?


 入居者が入居一時金を払って入居し、さらに月々の利用料(部屋代、食費など)を支払って生活する老人ホームのこと。入居一時金は数十万円から数千万円まで実に様々。最近は、企業の独身寮を改築して有料老人ホームとして再生させ、入居一時金を安くおさえているケースも増えてきており、入居一時金ゼロのホームも出てきました。

以前の有料老人ホームは、入居当時は自立であることを要件とした、ホテルのような瀟洒なつくりで、経済レベルの高い高齢者向けが中心でした。しかし最近では要介護の高齢者だけを受け入れる、比較的安価な「介護付き」有料老人ホームが増えてきています。

かかる費用はすべてが自己負担というわけではなく、介護付きの有料老人ホームは特定施設として指定を受けており、施設内での介護サービスについては介護保険が利用できます。

2005年10月から介護保険法一部改正により、特別養護老人ホームなどの介護保険施設も、居住費や食費などのホテルコストが利用者負担になり、安価な有料老人ホームとの費用的な差が縮まってきました。

特別養護老人ホーム、老人保健施設との違いは?


特別養護老人ホームも個室化が進められていますが、現状ではまだ相部屋が中心。老人保健施設も同様です。これは入居者にとってはプライバシーの確保を望みにくい生活ですね。すべてを介護保険の保険料でまかなう介護保険施設である特別養護老人ホームや老人保健施設は、職員の配置も法で決められた最低基準の入居者3人に対して介護職1人という配置がほとんど。人手不足から、仕事に追われ、流れ作業的に介護をこなしていく、という施設も見受けられます。

これに対して、有料老人ホームはほとんどが個室。職員数を増やして、その分、「上乗せ介護料」を利用者から徴収しているホームもあり、人員配置には比較的余裕があります。あるホームでは、入居者42人に対して介護職、看護職、ケアマネジャー併せて30人という体制でした。ただ、入居一時金の安いホームの一部には、人員配置に余裕がないところもあるようです。

介護保険施設が家族の希望で入所することが多いのに対して、有料老人ホームの場合、本人が自分の意志で入居するケースが多いのも特色。ホームにもよりますが、特に、入居一時金が高い有料老人ホームの入居者は介護保険施設に比べると、現状では介護度が低く、自立した人が多いようです。

それだけに、一日の過ごし方も、介護保険施設とはかなり違います。一斉介護という体制が多い介護保険施設では、決められた時間に食事、排泄介助、入浴、介助、レクリエーションなどが行われることが多いもの。個別の外出はままなりません。

これに対して有料老人ホームでの一日の過ごし方は、介護保険施設よりは自由度が高い。しかしこれも、当然、職員の配置に余裕があるかどうかによって変わってきます。人員配置に余裕がないと、どうしても自由度は低くなる。反対に、人員配置に余裕があるホームは、食事の時間こそだいたい決まっているものの、入居者は自宅で過ごしているように、好きなときに出かけ、好きなときに寝る生活。言ってみれば、ホテルに長期滞在しているイメージです。