介護・福祉業界で働く・転職する/介護・福祉業界の仕事

老人保健施設ってどんな職場?(3ページ目)

病院から自宅に戻る前にリハビリなどを行う入所施設、介護老人保健施設(通称、老健)。そこで働く職種、その仕事内容などの紹介です。

執筆者:宮下 公美子

●医師
【仕事】 常勤で入所者100人に1人の配置が規定されている医師は、入所者の診察、健康管理、服薬管理等を行う。医師については、何科の医師であるかについての規定はなく、中には常勤の医師が産婦人科などというびっくりするような話もある。

●看護職員
【仕事】 入所者の健康管理、服薬管理、カルテ管理、医師の補助など。医師のいない夜勤帯では、入所者の急変時の対応など、的確な判断と迅速な対応が求められるため、医療現場である程度の経験がないと難しい仕事ではある。

【勤務】 日勤帯(9:00頃~18:00頃)と夜勤帯(17:00頃~10:00頃)の二交替制で、4週8休などのシフト勤務が多い。

【採用】 正看護師、准看護師有資格者であることが要件。給与水準が医療機関に比べると低いため、求人難の状態。併設医療機関からローテーションで配置されるケースもある。

●リハビリテーション専門職
【仕事】 理学療法士作業療法士言語聴覚士などが入所者のリハビリテーションを担当する。理学療法士は、運動療法や物理療法などを行い、立ち上がる、歩くといった生活の基本となる動作をできる限り可能にする訓練を行う。

一方、作業療法士は、入所者の生活上の応用能力を、園芸、手芸、陶芸などの作業活動を通して自然に獲得できるよう導くという、やや心理学的手法をとる。言語聴覚士は、失語症や構音障害のある高齢者に対し、発声、発語などの訓練、言葉以外のコミュニケーション方法の指導、患者への接し方についての家族への指導などを行う。

非常勤で1~2人の配置という施設の場合、実際にはなかなか一人一人にじっくりと時間をかけて個別プログラムでのリハビリを行うのは難しい。理学療法士であれば、拘縮が進まないように関節の稼働域を広げる訓練をしたり、痛みのある部位をマッサージするといった内容になりがち。

しかし、介護職と連携し、理学療法士の指導を受けた介護職が入所者の歩行訓練につきそったり、園芸療法に取り組む入所者に、作業療法士の指導を受けた介護職が適切な声かけを行うなどしながら、リハビリ効果を上げている施設もある。

常勤配置の施設の場合は、個別のリハビリテーション計画書を作成して入所者一人一人の状態に合った機能訓練を実施することになっている。

【勤務】 勤務体制は、非常勤の場合は、週1~5日、日勤帯(9:00頃~18:00頃)での勤務が多い。常勤の場合は、支援相談員やケアマネジャーと同様、日勤帯(9:00頃~18:00頃)勤務で、4週8休が多い。

【採用】 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の有資格者であることが要件。高齢者施設では、この3職種の中では、理学療法士への求人が一番多い。言語聴覚士はリハビリ専門職として介護報酬が設定されて日が浅いので、まだ採用数は多くない。

●その他の職種
入所者300人に一人という配置の薬剤師、入所者の持病や歯、えん下(飲み込み)の状態に合わせて食事の内容を考える栄養士、食事を作る調理師、事務職員、施設長など。

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