どんな資格なの?
日本音楽療法学会などによる民間の認定資格。日本音楽療法学会では、独自の認定規則によって書類審査と面接試験によって審査を行って認定している。また、音楽療法士養成コースを持つ認定校の卒業者は、認定音楽療法士(補)認定試験合格後、3年間、音楽療法活動の臨床経験を積めば、学会の審査を経て正式に音楽療法士として認定される。資格は5年に一度、更新する必要がある。日本音楽療法学会だけでなく、大学や専門学校にも卒業を要件として音楽療法士を認定しているところや、岐阜県、兵庫県などのように自治体として認定しているところもある。
音楽療法士はまだ国家資格ではなく、認定が始まってからの歴史も浅いため、資格としての認知度も、音楽療法自体の成果についての認知度もまだ高くない。そのため、残念ながらこの資格だけでの就職は難しく、まだボランティアの域を出ていない。
しかし、音楽という身近でなじみやすい素材を用いてセラピーやリハビリを行う音楽療法は、その成果が正当に評価されるようになれば、急速に普及していくと言われている。現時点では、介護福祉士、保育士、教員などの資格に上乗せする形でこの資格を取得すると、対象者に対してより深い、専門性を持ったアプローチができるようになるのでは?
※日本音楽療法学会による書類審査の内容は下記のとおり。
A. 書類審査
1.音楽療法の知識(大学などでの履修)
2.講習会・学会への参加
3.臨床経験(事例研究レポートの提出)
4.研究発表
5.論文・著書
6.教育指導経験
7.その他
* なお、1あるいは2と3.4の3項目が必須項目
B. 面接
*詳しくは学会から「認定規則」を取り寄せて確認のこと。
※日本音楽療法学会実施している現行の音楽療法士資格審査は、平成22(2010)年度で終了になり、新しい審査体制に変わる。現在は、「音楽療法士補」(日本音楽療法学会が行う筆記試験を受験して取得、あるいは学会認定の養成校を修了して取得)でなくても受けられるが、平成23(2011)年度以降は、音楽療法士補の資格を取得していないと審査申請ができなくなる予定。
どんな職場がある?
精神科病院、一般病院のリハビリテーションセンター、養護学校、小学校、中学校の養護学級、老人保健施設などの高齢者施設など。どんな仕事なの?
日本音楽療法学会によると、音楽療法とは「音楽の持つ生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること」。音楽をただBGMとして流すのではなく、音楽を媒介に、認知症(痴呆症)高齢者、精神障害者、交通事故などによる脳障害後遺症を持つ患者、脳性まひや小児まひ、自閉症児・者に対してコミュニケーションを図っていくのが仕事。
交通事故による脳障害で、脳が機能しているかどうかもわからない、コミュニケーションもまったくできない状態の患者に対して、演奏を聴かせる、歌を歌って聞かせるといった音楽療法で次第に表情が出てきたケースを、以前、テレビで見たことがある。こうした音楽を用いたリハビリテーション、セラピーを担うのが、音楽療法士である。
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