昨年、ある介護関係者に介護業界の現状について取材したとき、声を潜めてこんな話を聞かせてくれました。「実は公にはしにくいのですが、性の問題がかなりあちこちで報告としてあがってきているんですよ。これには早く対処していかないといけないと思うんですけれどね……」。しかしデリケートな問題なので、どう対処するべきかが難しい、とのこと。

性の問題は、元ホームヘルパーが仕事での体験を記した『ホームヘルパーは見た!』という本にも出てきています。

 では、介護・福祉の現場では、どんな性的問題が起き、介護職はそれをどう受け止め、対処しているのでしょうか。これについて、(株)ヘルスケア総合研究所が昨年、ホームヘルパーと施設ケアワーカー、計648名に対して実に興味深い調査を行っています。今回は、その調査を元に、訪問介護の現場に絞って、ホームヘルパーが直面している、介護の現場の性の問題を考えてみます。

※調査データについて
2002年8月~9月、全国160か所の訪問介護事業所、188か所の介護施設に勤務するヘルパー、ケアワーカーに対してアンケート用紙を配付し、回収。ヘルパーは9割、ケアワーカーは8割が女性。年齢層は、ヘルパーでは50~54歳が最も多く約20%で平均年齢は44.5歳。ケアワーカーは20~24歳が最も多く約26%で平均年齢は34.1歳。

【現場では何が起きているのか】 
 この調査によると、利用者の要求に応えて「居室や食堂で一緒にお茶を飲んだことがある」ヘルパーは7割強。4割弱が「手を握らせてあげたこと」があるとも答えています。さらには、6%のヘルパーが「添い寝をしたことがある」し、約1割のヘルパーは「自分で身体の洗える利用者の陰部を洗ってあげたことがある」とのこと。

さらには、「胸を触らせてあげた」が3%、「キスをしてあげた」も2%。もっと強烈なのが「アダルトビデオを一緒に見た」「性風俗店に付き添った」「アダルトビデオのレンタルや購入をした」「一緒に入浴した」という回答も、それぞれ2~3%あること。なんと、「マスターベーション介助をした」という回答も約2%あるのです。

もちろん、いずれも「利用者の要求に応えて」のことですが、正直言って、現場ではここまで要求されることがあるのか、と衝撃を受けました。

 報告書から、具体的な声を紹介すると、「股間を触ってもじもじしていたのでトイレに誘導したら、勃起した陰部を見せられ、触れと言われた」「奥さんがいないとき、布団が敷いてある部屋でいいことしよう、と抱きしめられた」「他のヘルパーは尻を触らせてくれるぞ、と言ってお尻を触ろうとする」「若い障害者を訪問したとき、マスターベーションをしている最中だった。しかし隠そうともせず、終わると平気な顔でパンツを上げていた」「陰部洗浄のたびに、これでも昔はよく使ったんだ、と陰部の話をする」などなど。

介護職全体からすると、こうした経験をしているのはわずかではありますが、こうした言動に接した人は大きなストレス、心の傷になっているのではないかと思います。
果たして、性の介助は介護に含まれるべきなのでしょうか?

→次は、【性の介助は介護に含まれるのか】