介護・福祉業界で働く・転職する/栄養士・管理栄養士の仕事

知っておきたい栄養カウンセリングの基本や目的……そもそも何するの?

心理学の基礎をふまえたカウンセリングの基本や目的をお知らせします。栄養カウンセリングやサプリメントの販売などサービスの仕事をしてみたいけど、どのようにクライアントと話したらよいのかわからない! という人は多いのでは?

執筆者:大石 淳子

心理学の基礎をふまえた栄養カウンセリングの基本や目的

栄養カウンセリングの基本や目的

栄養士・管理栄養士の仕事は人と接することが多い。

食品やサプリメントの販売、栄養カウンセリングなど、栄養士・管理栄養士の仕事は人と接する業務が多く、各現場では専門知識に加えてカウンセリング技術を身につけた栄養士・管理栄養士が求められています。栄養カウンセリングを行うためには、まずはどのようなことを知っておけばよいのでしょうか?
 
<目次>
 

栄養カウンセリング

■そもそもカウンセリングって何をするの?
何か問題を抱えている人に向けて、問題の解決のため援助や手助け、サポートをする目的で行う相談や面談のことをいいます。実際の面談では、会話による言葉だけでなく態度、表情、雰囲気をふくめたコミュニケーションとり、相談者が行動変容し解決に向かうようサポートすることです。カウンセリングは心理学領域で発達したもので、これから栄養士・管理栄養士が栄養教育を行う際には、心理学の基礎をふまえたカウンセリング理論と技法を取り入れていくことが有用だとされています。

■栄養カウンセリングでは何をする?
「栄養カウンセリング」は食生活上の改善を必要としている人に対して、カウンセリング技法を用いて、その人が問題解決していけるように栄養士・管理栄養士がサポートすることです。このとき相談する方・対象者を「クライアント(クライエント)」といい、援助する栄養士・管理栄養士は「カウンセラー」となります。ほかの心理療法と違う点は教育的な役割が大きく、常に栄養士・管理栄養士の立場からクライアントが自分の食生活を理解し、食生活上の改善課題に気づいて自ら行動変容していけるように援助します。
 

栄養カウンセリングは食生活改善をサポート

従来は栄養士・管理栄養士側が改善点や改善方法、知識などを「~してください。」と相談者に伝達する形式でしたが、栄養カウンセリングはクライアント中心で行われます。クライアント自らに「食生活を改善してみようかな」とやる気になってもらい、「自分でやるんだ」と考え取り組んでもらえるように、栄養士・管理栄養士はウンセリング技術を用いてクライアントの自立を尊重し支えていきます。

そのためにはまず、信頼関係を築くことが重要。そして「この人なら何でも話せそうだな」と自己開示してもらうことが大切です。そんな信頼関係を持てると、栄養士・管理栄養士はさらにクライアントについて知ることができます。逆にいうと信頼関係の基盤がなければカウンセリングは1回で終わってしまうおそれがあります。栄養カウンセリングを継続した先に、クライアントの食生活の改善があるのです。

では信頼関係を築くにはどのようにしたらよいのでしょうか?
 

栄養カウンセリング技術の基本

カウンリングは「聴く」ことに始まる。

カウンリングは「聴く」ことに始まる。

栄養カウンセリングの技法の中で、「受容」「共感」「傾聴」というものがあります。これらは栄養カウンセリング以外でも用いられているカウンセリングの基礎で、これについて知っていると人と接する仕事やカウンセリングの実施の際に役立ちます。会社の上司・同僚、家族間、友人関係などのコミュニケーションにおいても役立つものなので、普段の生活の中に取り入れて練習しておきましょう。

■受容
一切、否定せず、肯定的に受けとめるということです。クライアントが自分は否定されず相手に受けとめられていると感じることができれば、安心して話しを続けることができます。例えば、うなずくこと、あいづちをうつこと、クライアントの話した中で重要な言葉を栄養士・管理栄養士側が繰り返すことなどによって「受けとめている」ということを表すことができます。

具体的には「ええ」「そうですか」「はい」とあいづちを打つ、またクライアントの話を「~なのですね」とキーワードを繰り返しながら話を聴くなどです。逆に栄養士・管理栄養士側が黙っていると、クライアントは聴いてもらっている実感をもってもらえませんね。またクライアントを説得しようとしたり、否定的な態度も避けましょう。

■共感
クライアントの置かれている状況や発言、気持ちを、理解しようとする姿勢のことです。例えばクライアントの話を「~なのですね」とまとめることで理解したことを表すと、相手はつづけて話をしやすくなります。栄養士・管理栄養士がクライアントに自分の意見を押しつけたり、改善点を指摘しません。

■傾聴
クライアントの話を熱心に、心から聴くことです。これは聴いて理解することが基本であり、「なんとなくわかった」とは違います。栄養カウンセリングはまずクライアントの話を聴くことから始まります。

また「~ということですね」「まず~、そして~ですね」とクライアントの話を要約してあげることで、クライアント自身が自分の考えを整理したり、客観的に自分を見つめることができます。そうすればクライアントが自分でて問題点をが見つけやすくなったり、また話しを展開しやすくさせてあげることができます。

栄養士・管理栄養士がクライアントに質問する際には、カウンセリングで「開かれた質問」といわれる質問方法をとります。これは「その後、いかがでしたか?」といった質問で、会話を進めることができます。逆に「閉ざされた質問」とは、「はい」「いいえ」で答えられる質問、例えば「朝食を食べてきましたか?」などで、特定の情報が必要な時以外はこの質問をするのは避けましょう。

■カウンセリングマインド
カウンセリング的な人との関わり方は、親子関係や職場などの人間関係にも用いることができ、広く対人関係で役立つとされています。受容と共感、傾聴などの技術を身につけ理解している人は、カウンセリングマインドがある人。特に栄養士・管理栄養士の仕事はサービス業であることが多いので、カウンセリングマインドを身につけておくと仕事に役立つでしょう。

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