介護・福祉業界で働く・転職する/介護・福祉業界の仕事

ホームヘルパー、介護職資格における研修制度(2ページ目)

初めて介護現場に携わる人のために、平成25年4月から整備された研修制度(資格)である「介護職員初任者研修」と「介護福祉士実務者研修」。旧制度である「訪問介護員養成研修(ホームヘルパー)1~2級」、「介護職員基礎研修」とどのように変わったのか?を含めて、研修の中身や受講するメリットをお伝えします。

井上 ルミ子

執筆者:井上 ルミ子

介護・福祉業界で働く・転職するガイド

「初任者研修」とは?

女性ヘルパー

ヘルパーとして活躍

初めて介護の仕事に携わる方や身内の介護の参考にと考えている方のために、介護についての基本的な内容が学習できるようになっています。

研修先によって通信・通学が選べ、約1ヶ月の短期集中コースもあれば、仕事をしながら休みや土日を活用し4~5ヶ月かけて修了することも可能です。

冒頭でも述べましたが、良くある質問として「初任者研修を受講しなければ、介護の仕事には就けないのですか?」というものがあります。法律上は、そのようにはなっていません。特養やグループホームなど、資格無しで働ける事業所は多いです。

ですが、現場でパフォーマンスを発揮するためにも、将来介護の世界でステップアップを目指すためにも必要な基本中の基本が学べるものですので、初めての方はもちろん既に働き始めている方も、ぜひ受講されることをお薦めします。

「初任者研修」を受講するメリットとしては、おおまかに以下の3つが言えるでしょう。

・介護動作の基本が身に付く
車椅子の介助中

介護の基本研修

どんな仕事でも「現場で実際に見て学び、経験を積んでできるようになっていく」というのが当然ですが、介護の仕事においては「知識が無いと支障をきたすこと」がいくつも存在します。例えば利用者の身体の向きを変えたり、移乗・移動の支援をする場合、何も知らずに力づくでそれをやろうとすると、介護者にも利用者にも大きな負担がかかってしまいます。「テコの原理を使う」という基本を知らなければなりません。

このように基本動作や根拠を習得した後、ベッドや車いすなどを活用し受講者同士が演習で繰り返し練習します。いわゆる基本レッスンのようなもので、車の免許でいうと、路上を走る前に教習所で知識と基本動作を習得するようなものです。

マヒのある人の着替えの援助、杖を使う人の移動援助、車椅子による移動援助、食事介助、口腔ケアの援助や便器の差し込み方などあらゆる場面を学習しておくことで、実際の現場での戸惑いが軽減されます。

・介護サービスの全体像が理解できる
入居型のサービス、自宅派遣型のサービス、通い形式のサービス。重度の方、軽度の方、リハビリを希望している方、認知症の方……と、サービス形態も被サービス者の種類も多岐にわたる介護業界。

初任者研修を受講することによってサービスや施設の種類、それぞれの関連性などを正しく理解でき、自分が携わりたいフィールドがどこなのかを理解することでスムーズな就職活動や現場でのパフォーマンス発揮に繋げていくことができます。

・心理的な余裕を持てる、成長スピードが早まる
「マヒの人の介護ってどうすればいいの?」 「認知症の人にはどう接すればいいの?」当然のことですが、介護の仕事では様々な場面、様々な戸惑いが発生します。初任者研修で色々なシチュエーションを想定し、予備知識を身に付けることで、いざ働き始めた際に心理的な余裕を持つことができます。また知識があるとその分「分からないこと」にも気づきやすくなるため、早く成長することができます。

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