施設で介護長・施設長をめざす
施設における介護職全体のとりまとめ役となるのが「介護長」、その上司が「施設長」です。20歳代半ばで「サブリーダー」、30歳前後で「介護リーダー」、40歳前後で「介護長」、40歳を過ぎたら「施設長」とステップアップできるのが理想的です。特に新型特別養護老人ホームでは10人以下を1ユニットと定め、ユニットごとにリーダーの配置が義務付けられているため、大型特養では同時に10人や12人のリーダー枠が存在します。若くしてリーダーシップを学ぶチャンスが巡ってくると言えるでしょう。ただ、施設長や介護長は基本的に施設に1人ずつ。ポストが空かない限り就任の機会はありません。まずは自分の任されたテリトリーでしっかりとリーダーシップを学び、ある程度キャリアを積んだら、新設の職員募集を視野に入れる方法もあります。
ただし焦って転職を検討する前に、まずは自らを育ててくれた職場に本音で相談してみましょう。未公開の計画や、新たな提案が出てくることも多いです。働きやすい職場だからこそ、自らも成長できたことを忘れずに。
求人に出ている採用時の給与は、35~50万円程度。介護長や施設長は何といっても、介護サービスの質の要で、職場の雰囲気を左右する重要な存在です。優秀な介護長、施設長を、施設側は手放さないようとても大切にしています。信頼される介護長や施設長になると、安定した状態で次の自己実現を検討できるのではないでしょうか。
看護師の資格を取る
筆者のコンサルティング先でも、一昨年、昨年と介護職員、事務員の方が看護職を熱望し、勤務しながら受験勉強に励まれ、現在退職し看護学生として頑張っているケースがあります。現場で働くにつれて看護職の資格がないことで出来なかった仕事をしたいという欲求が強くなってきたそうで、いずれは看護師として福祉業界へ戻ってきたいと言います。なによりも、介護現場の気持ちが理解できる看護師は施設においても大歓迎な人材です。年齢制限も緩やかな介護現場では、一旦退職し、病院の現場経験を積んで戻ってきても十分転職は可能です。介護職以上に不足しているとも言われている看護師は転職に強いです。
正看護師の場合、専門学校、短大、大学とあり、卒業までに3~4年かかります。費用は初年度30万円程度から、私立大学になると200万円程度かかるところまでさまざま。准看護学校は2年制で、地域の医師会や病院が運営しているケースが多いようです。
求人に出ている採用時の給与は、20万円から30万円前後。看護学校は、准看護師なら中学卒業者、正看護師は高校卒業者であれば受験資格があります。資格さえ取れれば年齢に関わらず重宝されます。ただし受験に年齢制限を設けているところもあるので、決心したら行動あるのみです。
作業療法士、理学療法士、言語聴覚士になる
介護の現場ではリハビリに注目しており、そこに従事する職種の必要性が高まっています。作業療法士は、たとえば脳梗塞でマヒが残ってしまった高齢者や、身障者、精神障害者などに対して、手先を使う工作をしたり絵を描いたりといった作業を通して心身の機能向上を図るのが仕事です。
理学療法士は、高齢者などに対して、足が曲がらないので自立歩行が難しいなどの運動機能障害を、訓練やマッサージ、日常生活動作のアドバイスを行うことで少しでも回復させるのが仕事です。
言語聴覚士は、主に加齢によって上手く食べたり飲み込めなくなった人へ、口腔内の訓練や飲み込みの訓練を行っていきます。
どれも高齢者に残された機能を最大限引き出し活性化する役割です。
求人に出ている採用時の給与は、20万程度から30万前後。
この資格も特に高齢者施設での絶対数が足らないので、就職の場面では売り手市場の資格です。卒業までに3年~4年かかり、費用的では国立の大学で初年度50万円前後、私立大学や専門学校で200万円前後の費用がかかります。
介護事業所を立ち上げる
独立もチャンス
設備に多額な費用がかからない訪問介護事業所など、投資資金の少ない事業から スタートすることが現実的ですが、成功の秘訣は、顧客を確保しつつ、どれだけ良き人材を集められるか、協力者を得ることができるかです。言いかえると、現在のあなたが、周りにどれだけ満足してもらえる仕事が出来ているかに関わっています。
さまざまな職種と求められている役割を見てきましたが、チームケアの大切さが分かれば分かるほど、自然に職種の幅を広げる=キャリアアップの意識が高まってきます。周囲にはそんな先輩方が沢山います。良き参考になさって下さい。