住宅購入の費用・税金/住宅ローンのしくみと選び方

その繰り上げ返済 ちょっと待った!(2ページ目)

ローンメンテナンスの常とう手段である「繰り上げ返済」。利息軽減効果は高いのですが、半面、思わぬ落とし穴も存在し、上手な活用方法が不可欠となっています。そこで、想定される注意点をまとめてみました。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド

「借り換え」ができなくなることも想定される


次に、住宅ローンを借り換えようとした際にも、予期せぬ“弊害”を被ることがあります。というのも、金融機関によっては借り換え後の借入期間を、借り換え前の“残”返済期間の範囲内でしか認めないことがあるからです。

たとえば当初、35年返済で組んでいたローンを、期間短縮型の繰り上げ返済によって25年まで短縮したとします。すると、その時点で借り換えようとした場合、借り換え後の住宅ローンは最長でも25年までしか組めなくなってしまうのです。もちろん、借り換え後の借入金額は借り換え前より少なくて済むとは思いますが、返済期間が短くなった結果、返済率(収入に対するローン返済額の割合)が融資条件をオーバーし、借り換えができない事態が想定されるのです。借り換え前の資金計画が“返済率ぎりぎり”のような場合に当てはまりやすいケースです。

また、借り換えられたとしても、「借入期間が短くなる」=「毎月の返済額が増える」ことを意味します。返済計画に無理が生じる可能性も否定できません。繰り上げ返済は返済負担を軽減させる有効な手段ですが、半面、こうしたマイナス作用も持ち合わせます。注意しましょう。

なお、いずれの場合も「期間短縮型」の繰り上げ返済にのみ当てはまり、「返済額軽減型」(毎月の返済額を少なくする方法)には該当しません。繰り上げ返済には一長一短がありますので、上手に使い分けることで効果的なローンメンテナンスを実践してください。



<繰り上げ返済の注意点(まとめ)>
  1. 期間短縮型の繰り上げ返済によって返済期間を短縮し過ぎると、「住宅ローン減税」が受けられなくなることがある。


  2. 同じく、借り換えをしようとした際、借り換え後の住宅ローンが最長35年の返済期間で組めない可能性も出てくる。


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