中古住宅だけ非課税なのは、なぜ? |
実は、こうした非課税の範囲は一戸建て・マンションを問わず「個人間売買の中古住宅」全般に当てはまります。しかも、個人間の中古住宅売買では土地だけではなく建物も非課税となり、“完全”に消費税を免れる仕組みになっています。新築住宅(建物部分)には課税される消費税が中古住宅にはまったくかからないのは、よくよく考えてみると不公平にも思えますが、なぜ、中古住宅(個人間売買)には消費税がかからないのか?……今回は、その“からくり”をご紹介したいと思います。
20××年 消費税率は○○%となる
9月10日、安倍改造内閣初となる臨時国会が幕を開けました。先の参議院選挙で大敗したことを受け、衆参逆転の「ねじれ国会」とも揶揄(やゆ)される今国会、同日午後の所信表明演説で安倍総理は、消費税の税率引き上げをめぐる議論開始の時期に関し、具体的な年限の明示を見送りました。今年1月の施政方針演説では「2007年度をメドに」と語っていただけに、税制改正への意気込みが一歩後退した印象です。
こうした言動に対し、一般国民からすると現在の税率(5%)が今後も続くことは歓迎に値します。所得水準が上向かない中にあっては、なおさらのことです。しかし、800兆円もの借金をかかえる日本の赤字財政をかんがみると、財源確保の必要性を無視するわけにはいきません。われわれの子孫に、こうした“ツケ”を先送りすることは許されないからです。そう考えると、税率引き上げは「容認せざるを得ない」と考えなければならない側面も見え隠れしますが、「できることなら払いたくない」のは万人に共通の心理です。今後の行方から目が離せません。
1989年4月(竹下内閣)・・・・・・・消費税が導入される 1997年4月(橋本内閣)・・・・・・・税率が3%から5%へ引き上げられる 2004年4月(小泉内閣)・・・・・・・総額表示方式が導入される 20××年(ポスト安倍内閣?)・・税率が5%から○○%へ引上げられる |
さて、同税のこれまでの経緯を振り返ってみると、日本に消費税が導入されてすでに18年が過ぎたことが分かります。その当時、これまでめったに使わなかった1円玉が大量不足となり、ニュースになったのは今でも忘れられない光景です。もし仮に、税率が10%(5%up)に引き上げられると(幸か不幸か)会計時に端数が出にくくなります。そうすると、時代は逆戻りし1円玉の出番はそれ以降、少なくなるかもしれません。もちろん、そうしたことを願うわけではありませんが……。
「個人は課税事業者に該当しない」というのが、その理由
このように、われわれの日常生活とは切っても切れない消費税ですが、ではなぜ、新築住宅と中古住宅では課税結果が異なるのか、ここからその“タネ明かし”に入ることにしましょう。
復習をしておくと、消費税の課税対象となる取り引きは、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等、および、外国貨物の輸入です。前者の「資産の譲渡等」とは、「事業として有償で行われる資産の譲渡・資産の貸し付けおよび役務の提供」のこと、また、「事業」とは不特定多数の人を相手に継続的に商取引を行うことをいいます。
そして、ここでポイントとなるのが「事業」というキーワードです。個人(=一般の人≠非事業者)が所有するマイホームを譲渡(売却)する行為は、当然、「事業」に該当しません。その結果、前述した消費税の課税対象から外れることで、非課税となるカラクリです。同じ中古住宅の売買でも「宅建業者等」が取引相手となる商行為では、一様に消費税が課税されます。こうした違いが生ずるのも、事業者が事業として取り引きを行っているかどうかが関係するからです。事業法人に比べ個人は担税能力(租税を負担する力)が低いため、課税条件に配慮することで不公平感を解消する狙いもあります。
読者の皆さまが今後、自宅マンションを売却する際、消費税相当額を売り出し価格に上乗せする必要はありません。消費税の仕組みを理解することで、上手な値付けにお役立てください。
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