「彼女は数字に弱い」を
有名な話にしてしまう
弱点の克服法について、Aさんはこう話します。
「決して努力をしていないわけではありませんが、やっぱり決定的にダメなことってあるんですよね。『私には元々その部分のネジがない』という感じ。そこで、『私は予算管理が苦手なんだ~!』って、皆に知ってもらうことにしたんです」
この話の通り、Aさんが数字に弱いことは、同じ部署のほとんどの人が知っています。
ここで、こんな心配は生まれないでしょうか。
Aさんは予算管理が苦手
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上司は安心して仕事を任せることができない
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大きな数字を管理しなければならない大きな仕事は任せてもらえない…
ところが、Aさんには次々と大きな仕事がやってきています。それはなぜなのか。再びAさんの話を聞いてみましょう。
「上司が私をどう評価しているかはわかりませんが、私は予算管理が苦手なので、できるだけまわりの人に協力を求めるようにしています。会社には予算管理が得意な人もいますから、そういう人に要所要所で相談したり、チェックをしてもらったり。とにかく私は『予算管理のできない子』なので、皆が心配してくれます」
自分が苦手なことを認識してそれを公表することでブレーンを作る。これがAさんの苦手克服法であり、これによって上司は彼女の仕事に安心感を覚え、より大きな仕事が任されるというプラスのスパイラルができあがっているといえそうです。
不得意なことを伸ばすには大きなパワーがかかります。もちろん、それを放棄してはいけませんが、そこに力を注ぐがために、せっかくの長所を生かせないのではもったいない。
Aさんも言うように、人の強みはそれぞれ異なります。互いの強みを生かし、弱点をカバーしあうことで成長していくという方法もあるのではないでしょうか。