読者の方の中にもピンクチラシに迷惑している人、多いのではないでしょうか? 特に就学中のお子さんのいるご家庭では、教育上、望ましくないと感じている方が少なくないと思います。「招かれざる客」として、たとえば訪問販売であれば、オートロックによって一定の侵入防止効果を期待できます。しかし、有害チラシとなると事実上、投函を拒否する手立ては存在しないのが現実です。深夜あるいは週末といった、管理人のいない隙を狙ってやって来られては、どうすることも出来ないのです。

実は、今年の4月11日、ビラ配りをめぐる裁判で1つの判決が出されました。集合住宅へのビラ配りに対して、司法の最高府である最高裁判所が初めて一定の判断を示したのでした。その結果は、大変、興味深いもので、チラシ撃退にも一役買うことが期待されます。そこで今回は、こうした訴訟の判例などを交え、ピンクチラシの投函を減らすあの手この手について考えてみたいと思います。


チラシ配布が「住居侵入罪」に該当するかが争点


今回、ビラ配りをめぐる訴訟の舞台となったのが、東京・立川市にある自衛隊官舎です。イラク派兵反対を訴えるため、2004年1月~2月にかけて市民団体の3名が無許可で旧防衛庁・立川宿舎の敷地に立ち入り、「自衛隊のイラク派兵反対!」などと記載したビラを玄関ドアの新聞受けに投函しました。これに対し、住民は警察へ通報するなど対策を施しましたが、行為が中止されそうもないことから被害届を提出。これにより、一連の裁判劇が幕を開けることとなりました。

この裁判で争点となったのが、チラシを配布するため敷地内に無断で立ち入ることが「住居侵入罪」に該当するかどうかという点でした。これまでにも、神奈川県では1998年5月、ピンクチラシを配ろうと他人の敷地に入ったアルバイト男性が住居侵入の現行犯で逮捕されたり、東京・世田谷区では2003年1月、同じくピンクチラシをマンション住民に配ったとして、東京都迷惑防止条例違反の疑いで43歳の男が警視庁に逮捕される事件がありました。2002年10月に迷惑防止条例が改正され、ピンクチラシ配布が刑事罰の対象になったことが背景にあります。

しかし、司法の場で法的判断をあおぐのは今回が初めてで、その判決内容に注目が集まっていました。最高裁まで上程された今回の裁判沙汰。はたして、どのような結末を迎えたのか? 次ページから、順を追って見ていくことにしましょう。


 【用語解説】 住居侵入罪(刑法130条)

 正当な理由がないのに、人の住居もしくは人の看守する邸宅・建造物もしくは艦船に侵入し、または要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金に処する。