ドレスショップなどから依頼をいただいて、ウエディング雑誌へ掲載する写真撮影の際、モデルへのヘアメイクをすることもあります。(久保木さん) |
「一生に一度のこと・・・」 ~失敗談・向いている人~
これまでで一番心に残っている失敗は、結婚式当日、初めて花嫁さんにドレスを着せたときのこと。トレーンが数メートルもあるドレスだったのですが、着せ方を間違えてしまったようで、トレーンが半分ほどの長さにしかならなかったのに、私も花嫁さんもそれに気付かずに挙式を挙げてしまいました。花嫁さんは、バージンロードを長いトレーンんを引いて歩くのが夢だったのに、いくら初めて着せたからといっても、その夢を私が奪ってしまった。今思い出しても、胸が苦しくなります。私にとっては、毎週末訪れる結婚式でも、花嫁さんにとっては一生に一度の大切な日。その出来事以来、担当する結婚式前夜には、必ず自分自身に向かって「一生に一度のこと」と心に刻んで、本番に臨んでいます。この仕事に向いている人は、人との信頼関係がきちんと築ける人。人の肌に直接触れるということは、相手との信頼関係ができていないと出来ないことです。技術は、あとからついてきます。センスを磨くためには、良いものをたくさん知ること。完成された美しいものは時代を超えます。本当に美しいものを知っていたら、良いものと悪いものの区別がつくようになると思っています。
マーケットは開けてくる ~将来性・メッセージ~
ヘアメイクの仕事は、美容雑誌のビューティページや、ファッション雑誌のモデルさんのメイク、ブライダル専門など、複数のジャンルに分かれています。ブライダル分野での将来性については、とても明るいと感じています。これまでは1つのホテル・式場内ですべての準備をすることがスタンダードでしたが、今は式場の選択肢もたくさんある上に、ドレスもメイクも選べる。本当にキレイになりたいと思っていたら、美容にこだわり、メイクのアーティストを呼ぶことも可能です。技術がある、信頼できるヘアメイクアップアーティストとしてやっていくのであれば、マーケットは開けてくると思います。これからメイクアップアーティストを目指していらっしゃるのなら、その夢を叶えなくてはもったいない。叶えるために夢はあると思うので、ぜひがんばってください。
【編集後記】
「すべてを受け止めてくれそう」久保木さんにお会いしたときの第一印象です。何でも、ふんわりと受け止め、きちんとアドバイスをしてくださる、そんなオーラを感じる、とってもステキな女性でした。こんなに花嫁のことを真剣に考えてくださるメイクアップアーティストの方に、人生最大の晴れ舞台をメイクしてもらえたら、最高に幸せでしょうね。これから、益々のご活躍を期待しています。