全国のパートで働くミセスの多くに夢と希望を与えた今回のニュース。 |
18年間の専業主婦を経て、お子さんの学費の足しになればと働きはじめたパートのお仕事は、一体どんなものだったのでしょう。
きっかけは、軽い気持ちで始めたパート
橋本さんの経歴をざっとたどると、愛知県の一宮女子短大卒業後、栄養士として3年間、病院で勤務。結婚を機に退職。73年に長女を出産、75年に次女を出産し、子育て・家事にと専業主婦として18年間を過ごしました。次女18歳のとき、「ワイドショーを見ていてもつまらないし、子どもの教育費の足しにと思って」働くことを決心。当時、「カロリー計算とPTA活動しかできなかった」という橋本さん。資格も特になく、職場も自宅から自転車で15分で通勤できるところを探されたそうです。「BOOK OFF1号店でのパートの仕事は、新聞の折り込みチラシで見つけ、軽い気持ちで応募した就職の際の面接では、さらに
・夫の夕食を作るために、夕方17時までには仕事を終えたい
・土日は、夫がゴルフに出かけたり、晩酌をするので休みたい
という条件を面接官につきつけたというのですから驚きです。(再就職マニュアルのタブー集に載りそうなタブーです!)
仕事を始めてからは、「消費者の立場に立って」古本を買い取り、そして販売する」ということを考え、まずお客様よりも少し上に立ったニュアンスが感じられる(古本を)「買い取ります」という言葉を「お売りください」に変えたそうです。あるいは、独身女性も店に入りやすいようにと店内の照明を明るくするなどの提案をし、会社に受け入れられています。
また、そのほかにも、
・ 商品として販売できない書籍について、それまでお客様に対して「廃棄します」と言っていたのを「引き取らせていただきます」の表現に変えた
・ 本が見やすいように店内の書籍をジャンル別に分けた
・ 買い取った古本を研磨するのに使用するサンドペーパーを最適なものにするべく、いく種類ものサンドペーパーを試した
など、さまざまなエピソードが残されています。
「社会人として認められた喜び」
パートというポジションにあって、主体的に仕事をするということは、なかなかできることではありませんし、しかも18年間も専業主婦をされていたらなおのこと、やろうと思っても難しいことだと思うのですが、現場では積極的にリーダーシップを取られていた様子がよく想像できますね。もちろん、お仕事を始めていきなり順調だったというわけではなく、仕事を始めて2ヶ月で8キロも体重が落ちたそうですから、相当なストレスだったことがうかがえます。でも何よりも「自分が仕入れた本が売れたとき、社会人として認められた喜びを感じた」とおっしゃっているところに、橋本さんの「働く」ことの原点があるように思います。家庭ではもちろんかけがえのない妻であり、母であるわけですが、働くということは、家庭以外の場所で「求められている」ということ。専業主婦時代とはまた違った充足感を覚えるのではないでしょうか。
サクセスストーリーを絵に描いたような今回のニュース。橋本さんは、挫折を感じることはなかったのでしょうか?。次ページへ>>