女性の転職/女性の再就職・職場復帰

パートから社長へのシンデレラストーリー(2ページ目)

5月16日に発表されたブックオフコーポレーションの人事で、パートとして入社した女性が16年間の勤務を経て社長に就任することがわかりました。なんと41歳で再就職した女性だというのですから驚きです。

執筆者:川崎 あゆみ

悩み"
家事との両立の狭間で悩んだことも。ご主人に仕事か家庭かの選択を迫られて・・・

壁にぶつかったことなんて、何度でもある!

パートで働き出して9ヶ月後には、売り上げが伸び悩んでいた2号店の店長に抜擢されますが、残念ながら業績がふるわず、社長から“閉店”を言い渡されます。そのことを朝礼の場でスタッフのみなさんに伝える役目の橋本さんは、「(閉店は)どうしても嫌です。悔しい。閉店したくないです」と思わず泣いてしまったそうです。すると、スタッフの方からから「僕たちも年末年始休まずにがんばりますから!」と力強い言葉が出てきたそう。橋本さんの思い、スタッフの方々のがんばりによって、業績は回復し、閉店をまぬがれたということです。

仕事中心の毎日を送る橋本さん。それでも、子どもが病気になったときなど、仕事との両立について何度も考えたといいます。16年間もの間、家庭と両立させながら働き続けられたのは、ご主人の理解あってこそ。仕事か家庭かと夫に迫られたときに、仕事と応えたそうです。「(というよりは)仕事をやらせてください」とお願いしたとおしゃっています。

また、仕事の上で悔しく思うことがあり、辞表を提出したことも。退職の挨拶をして回っていると、涙が出て止まらなくなったとか。「辞めようと思っても、辞められないほど、仕事が生きがいになっていた」ことに気づき、退職を撤回されたそうです。

「社会人として認められた喜び」からさらに「生きがい」になっていく仕事。それは、「子どもが良い成績を取ってきたときや、夫の昇進したときに喜びよりも大きかった」。「人が育つことを目の当たりにする喜び」の方が大きかったとおっしゃっています。

現在では、「人材育成の達人」と呼ばれ、「手を抜く」「サボル」ということは許さないとのこと。そして長年、橋本さんとお仕事を一緒にされてきた男性は、「橋本さんご自身がマニュアルです。橋本さんのためならという人が、ごまんといます」と取材の中で話されていましたが、橋本さんの人望の厚さがうかがえますね。



18年間の専業主婦を経て、仕事を再開したときの橋本さんの年齢は41歳。会社での勤務経験は、短大卒業後の3年間だけ。このサイトをご覧くださっている方にも、似たようなバックグラウンドの方が多いのではないでしょうか。

このサクセスストーリーの鍵は、学歴でもキャリアでも資格でもなく、橋本さんの「がんばり」だったことは、言うまでもありません。「現場で、誰にも負けないぐらいやってきた」とおっしゃる橋本さん。“一生懸命がんばる“こんなシンプルな言葉が、社長になるためのキーワードなんて、素敵です。ただし、先ほども”主体的”と書きましたが、与えられた仕事をこなしていただけでは、今の橋本さんはないでしょう。

会見中に何度も「現場」という言葉が出てきましたが、2003年に常務に就任してから現在も月に2~3はレジに立っている(社長就任後もこれは続けるそうです!)そうですから、「お客様の視点を持ち続け、現場をよく知る上層部」である橋本さんのおっしゃることは、従業員の方々に対する説得性も高いでしょうし、現場で働く自分たちの立場もわかってくれているという安心感・信頼感もあることでしょう。

それだけにご苦労も多いと思いますが、これからもお客さんに一番近い社長として、ご活躍されていくことでしょう。セカンドキャリアを目指す私たちに勇気を与えてくれるニュースでした。

橋本さんの座右の銘:誰にも負けない努力をする
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