この記事はこのような構成になっています。

1. 進学校から4年制大学へ。解き放たれた自由の中でメイクへの興味が目覚める
2. 事務、家庭教師、貸衣装店でのアルバイトを掛け持ちした1年
3. 睡眠時間は3時間。働きながら学んで美容師に




稲本藤代さん(25歳)
BAPE CUTS アシスタント

渋谷区神宮前にある美容室のオーナーさんを取材した際に、ちらりとお会いしたのが稲本さん。そのときの素敵な笑顔と、美容師として本物を目指そうとしている姿勢に魅せられ、ぜひ、お話を聞いてみたいと思いました。

BAPE CUTS
東京都渋谷区神宮前3-30-11 シャルマン神宮前1階 TEL 03-5772-8461



1. 進学校から4年制大学へ。解き放たれた自由の中でメイクへの興味が目覚める

――もともとは教員を目指していたんですよね?
「そうですね。子どもが好きだったので、いわゆる進学校と言われる高校を卒業して、大学の教育学部へ進学しました」

――それが、なぜ美容師を目指そうと?
「まずは、大学に入って、ファッションやメイクに興味を持つようになったんです。高校は規則が厳しくてメイクも禁止。そんな状態から大学に入って一人暮らしを始め、“自由”を得ましたから、堰を切ったようにオシャレを楽しむようになりました。コスメショップでバイトをして、エステを教えてもらったり、友達にメイクをしてあげたり。そのうちに、美容師になりたい、なろう、と思うようになりました」

――趣味の範囲を超えて、それを仕事にしようと思ったのはなぜ?
「きっかけは、大学3年のときの教育実習です。教員がイヤと思ったわけではないんですが、自分がやったことの結果がすぐには出ない仕事だと感じました。それに対して、メイクは友だちにやってあげるとその場で喜んでくれる。それが刺激的だったし、人を幸せにしてあげることができると感じたから、ちゃんと技術を身につけて、仕事にしたいと思いました」

――でも、大学は教育学部…
「最初は、大学を辞めて美容学校へ行こうと思ったんですが、親に話したら、『もう一度考えてみなさい』と言われて。親は、私が思いつきで言っていると思ったみたいですね」

――で、もう一度考えてみた?
「でも、考えは変わりませんでした。だから、何度も話して、話して、話して。そしたら母が、『そんなにやりたいなら、まずは大学を出て、その上で自分のお金でやりなさい。それならいいから』って言ってくれたんです。その後は、お金を貯めるため、卒業までバイトに集中でしたね」

なんとか両親の理解を得た藤代さんでしたが、美容学校に通うにはまとまったお金が必要で、卒業までにアルバイトでそのお金を用意することは無理と判断。そこで彼女は、石川県の実家に戻り、1年かけてお金を貯めることにします。