たとえ今の会社に不満があったとしても、テレビドラマにあるような「辞表をたたきつけて退職」という行動がマナー違反であることはわかりますよね。退職理由が何であれ、キャリアを積んでいきたいのであれば、これまで築き上げたモノをフイにするような退職の仕方は避けたいところです。
そこで、退職を切り出される側の気持ちを聞いてみました。相手の気持ちを知って、賢く「円満退職」。これが、しなやかにキャリアを積んでいくコツだと私は思います。
★「退職後も力になれることがあればと思って『今後はどうするの?』と聞いたけれど、『別に』の一点張り。ところが、退職した翌週に、同じ取引先に出入りしている同業他社にいるとはどういうこと? 転職先の会社名を教えろとは言いませんが、同じ業界で働くなら、どう頑張っていきたいかぐらい聞かせてくれてもいいんじゃないの? これじゃあ、まるでうちと縁を切りたかったといわんばかりだよねぇ」
(ハウスメーカー 設計部マネージャー)
上司というのは、自分が育てた部下はかわいいもの。転職しても、その後の活躍ぶりが気になるようです。転職する側にしてみたら、退職後まで何かと世話を焼かれるなんてうっとうしいと思うかもしれませんが、そんな元上司の気持ちを逆なでして同業者の中に敵を作るのは得策ではありません。
転職先社名を言う必要はありませんが、今後も顔を合わせる可能性があるなら、前向きな退職理由を話し、「頑張ってるな」と見守ってもらえるような関係を作っておくのがいいのでは?
★「ある日、取引先の担当者と話していたら、『おたくのAさん、来月いっぱいで独立するんですってね』と言われてびっくり。私だけでなく、社内の誰もこのことは知らず、会社と退職の話をする前に取引先に営業して回っていたようです。そんな礼儀知らずは、来月といわず、今すぐ辞めてくれ!と思いました」
(デザイン事務所 社長)
独立する側が「自分の努力でここまで来た」と思うのに対して、育てた側は「誰のおかげで独立できるようになったと思ってるんだ!」と思う。その食い違いが表れた事例ですね。でも、これって意外と多いよう。
退職の時に大きなしこりを残すと、前の会社から、これまで出入りさせてもらっていた取引先への営業を妨害されないとも限りません。自分の努力で成長したのも事実ですが、会社がそのチャンスを与えてくれたのも事実。フリーランスとして新しい一歩を踏み出す場合、育ててくれた人の協力なくして成功はないと考えましょう。
退職後の態度でも、元上司たちはいろいろな気持ちを持つようです。続きは次のページで・・・。