3.英語事務からポートフォリオマネージャーアシスタント、秘書兼翻訳、そして翻訳専任職に
--派遣ではこれまでどんな仕事を経験したんですか?
「2カ月の仕事が終わった後は、銀行の株式投資部でポートフォリオマネージャーアシスタントをしました。正直言って、この仕事を紹介されたときはびっくりしたんです。だって、株式の知識なんて全然ないんですから。思わず、『私でいいんですか~?』って言っちゃいました(笑)。『やります』って返事をしたのは2日後。3カ月更新だったので、イヤだったら最初の期間を満了した時に更新を辞退すればいいやって思って、飛び込んでみました」
--飛び込んでみて、どうでした?
「皆さんよく教えてくれたし、誉め上手なのに乗せられて、勉強したように思います。それに、私はまったくの素人。質問することが恥ずかしいとは思ってなかったのもよかったかもしれませんね。翻訳のしかたもここで覚えました。その頃は、幼稚園児のお便りみたいな翻訳だったと思いますけど」
--翻訳を極めたいと思ったのはその頃からですか?
「そういう気持ちがなかったわけではありませんが、まだ、翻訳のプロと言えるだけの自信もなかったので、次の仕事を紹介してもらうときに翻訳だけと強く希望することはしませんでした。それよりも、株式投資部での仕事で株のおもしろさを知ったので、英語が使えて、株式や証券に関われる仕事がしたいと話しました」
--派遣での仕事を通して、一つずつ、階段を上がっていった感じですね
「その後、外資系の証券会社で秘書兼翻訳という仕事を経て、日系シンクタンクの翻訳チームで働くことができたんですが、派遣先ごとに新しい経験をさせてもらってきたと思っています。翻訳チームで働いたことで、翻訳者としてのプロ意識も芽生えてきたし。翻訳チームでの仕事ではネイティブチェックがあったんですが、その人が私を評価してくれたのがとても自信になりましたね」
昨年、アメリカへ出掛け、ネイティブスピーカーの人数が多くなると聞き取れないという自分の状態にショックを受けたという奈美子さんは、その後、「会話」についても積極的に取り組むようになったとか。彼女の向上心はまだまだ衰えを知りません。