3. 仕事ぶりが認められて再び営業の世界へ。水を得た魚に
--派遣会社ではどんな仕事を?
「最初は、登録に来た人の受付から。その後、登録面談をするようになり、コーディネーターとして働きました。正社員になったのはその頃です。でも、正社員になって3カ月後に営業をしてくれって言われて、営業をすることになりました」
--営業はイヤじゃなかった?
「う~ん・・・。そのときは、『まあいっか』って思いました。人事異動だし」
--前の営業と違いはありました?
「求人広告って、2度、3度とご利用いただくことはありますが、その広告で人材が採用できれば一旦終わり。でも、派遣会社の営業は、契約した後、スタッフが派遣先で働くわけだから、やりっぱなしにできない。スタッフのフォローも大事な仕事なんですよね」
--そういう仕事にストレスはなかったですか?
「スタッフフォローをたいへんと思う人も少なくないみたいですが、私は全然大丈夫だった。私の方が年上ということも多かったから、愚痴をこぼすスタッフを前にしても『まだ若いから仕方ないよね』と思えたりして」
その後、千里さんは営業成績をぐんぐん伸ばし、大阪に異動して課長代理に。さらに、課長に昇進し、3年後には名古屋支社長に抜擢されます。
--30代半ばで支社長。プレッシャーもあったのでは?
「当時、名古屋支社は売り上げもいまいちで、そのてこ入れをするように言われて私が配属になったんです。で、朝早くから夜遅くまで頑張って、なんとか持ち直しに成功。メンバーも頑張ってくれて、支社の中で全国トップになることもできました」
--じゃあ、支社長としても自信がついたのでは?
「でも、精神的にはきついこともあったんですよ。たとえば、私が支社長としてメンバーに同行した後、取引先が『あの人、支社長って言ってたけど、社内の役職は何なの?主任クラスなんじゃないの?』と言ったり、取引を始めるに当たり、私個人の履歴書の提出を求める会社があったり。数字は上がったけど、女の自分がトップにいることで敬遠する会社もあるんじゃないか、自分がいることが不利益につながるんじゃないかって悩みました」
自分ではどうにもならない壁。キャリアを積む中で、多くの女性が経験する大きな壁を千里さんも経験したようです。しかし、彼女が転身を考えたのはこれがきっかけではなかったのです。