3. 39歳で開業。借金は「自分の糧」
--独立はもともとしたいと思っていたんですか?
「自分から店を持ちたいと思ったわけではないんです。それどころか、どちらかというと店は持たない主義だったくらい」
--それがなぜ?
「ある時、美容の先生が『あなたなら店をやっても大丈夫』と言ってくれたんです。それと、絶対に店は持つものじゃないと言っていた理容師の先輩が、『この腕だったら店を持ってもいいわね』って。で、やってみようかなと」
--開業資金はどうしました?
「全部で1000万円借金してスタートしました。主人と、自分の父親と、主人の父から少しずつ借りて、残りは保証協会から」
--不安はなかったですか?
「性格にもよるけど、お金を貯めてからやろうというのは私は無理。逆に借金したら、これだけのことはやらなきゃ!って力が沸いてくる。責任感が出てくるから、健康管理もするし、今まで以上に努力できる。借金は、自分の糧だと思っています。ただ、自分が持てる荷物はどれだけなのかを知っておく必要はあるかもしれませんね」
--独立して10年たった時、移転してますよね。それは、お店を大きくしたかったからですか?
「全然(笑)。あるお客様が、道に迷って前のお店に来ることができなかったんですよ。ああ、これじゃいけない。もっとわかりやすい場所に変わろうって、それだけ。私は、仕事も楽しみたいけど家庭も楽しみたい。だから、店は今の規模でいいんです」
バス通りに面した今のお店は、カット面が3面、シャンプー台が3台。三枝子さんほか4人(1人は育児休業中)でお店を切り盛りしている。